2008年 09月 16日
竹久夢二全集 |
数年前に帰国して、兄夫婦と会い駅ビルを歩いているときに通りすがった古本屋で、紐で結わえられた竹久夢二全集に見覚えがありました。
全部で10冊ほどもあったのじゃなかったかな。
数色の明るい色の固い表紙で。
十代のころに母が買ってくれたものと同じです。
全巻揃っているみたい。
あれはどうしたのかしら。
渡米したときに東京で処分してしまったのか、実家に置いたままその後の火事で失くしてしまったのか。
値段もほどほどで欲しかったけれど、小さなこどもを連れての帰国でそんなかさばる買い物はしたくなかったので、求めなかったのですけど。
実家は本屋でしたが、専ら学校相手に商うテキストやらを扱う店でした。
街には、ふつうの本屋さんもあって、そういう本屋に生まれたかったなあ、と思ったものです。
商売の世界では、それらの本屋さんもうちにとっては商売敵だったようで、わたしや兄がほかのこどものように中学生や高校生になって本屋さんをひやかしたり買い物するのが、母にとっては歯がゆかったらしいです。
小さな街のことだから、本屋の主人はわたしたちがどこの子だかくらいわかっているだろうし、立ち読みするようなことはみっともないと思っていたでしょう。
”欲しい本があるんなら、商売敵のところで買わんで、うちで卸しでろっかけで買えるんやから言いなさい”
”ろっかけ”というのは定価に対する卸し値のことでしょう。
それは”6X”であったり、6が商品やメーカーによって異なったりしたのでしょうけど、そういう言葉を使っていました。
卸値は定価の6割の値、とかそういうことだと理解しています。
それであるとき、竹久夢二の本が欲しいと中学生のころに言ったら、早速全集がどっさりと届いたのでした。
1冊届くのを予想していたから、10冊くらいもとどいてびっくりしました。
それから”グレゴリア聖歌”
どこで聴いたのか、その声をまた聴きたいと母に言ったら、アルバム1枚ではなくて、これも10枚ほどで1セットになったものが送られてきました。
おとなになって母が言うには、商売は苦しくて、毎月末になると支払いが出来るだろうかとはらはらのしどうしで胃が痛かったそうですが、こどもに対しては、気前のいい買い物をしてくれたなあ、と思います。
いまわたしが、どこかのセールで、50ドル以上買えば送料無料とか、2本買えば3本目は無料、とかいうのに弱いのは、母のせいでしょうか。
”卸し値”というのにも弱くて。
写真は、幼馴染がくれた竹久夢二の塗り絵。
オリジナルと無色のものが入っています。
無色のほうが厚い紙。
もったいないので、ゼロックスしてから使っています。
全部で10冊ほどもあったのじゃなかったかな。
数色の明るい色の固い表紙で。
十代のころに母が買ってくれたものと同じです。
全巻揃っているみたい。
あれはどうしたのかしら。
渡米したときに東京で処分してしまったのか、実家に置いたままその後の火事で失くしてしまったのか。
値段もほどほどで欲しかったけれど、小さなこどもを連れての帰国でそんなかさばる買い物はしたくなかったので、求めなかったのですけど。
実家は本屋でしたが、専ら学校相手に商うテキストやらを扱う店でした。
街には、ふつうの本屋さんもあって、そういう本屋に生まれたかったなあ、と思ったものです。
商売の世界では、それらの本屋さんもうちにとっては商売敵だったようで、わたしや兄がほかのこどものように中学生や高校生になって本屋さんをひやかしたり買い物するのが、母にとっては歯がゆかったらしいです。
小さな街のことだから、本屋の主人はわたしたちがどこの子だかくらいわかっているだろうし、立ち読みするようなことはみっともないと思っていたでしょう。
”欲しい本があるんなら、商売敵のところで買わんで、うちで卸しでろっかけで買えるんやから言いなさい”
”ろっかけ”というのは定価に対する卸し値のことでしょう。
それは”6X”であったり、6が商品やメーカーによって異なったりしたのでしょうけど、そういう言葉を使っていました。
卸値は定価の6割の値、とかそういうことだと理解しています。
それであるとき、竹久夢二の本が欲しいと中学生のころに言ったら、早速全集がどっさりと届いたのでした。
1冊届くのを予想していたから、10冊くらいもとどいてびっくりしました。
それから”グレゴリア聖歌”
どこで聴いたのか、その声をまた聴きたいと母に言ったら、アルバム1枚ではなくて、これも10枚ほどで1セットになったものが送られてきました。
おとなになって母が言うには、商売は苦しくて、毎月末になると支払いが出来るだろうかとはらはらのしどうしで胃が痛かったそうですが、こどもに対しては、気前のいい買い物をしてくれたなあ、と思います。
いまわたしが、どこかのセールで、50ドル以上買えば送料無料とか、2本買えば3本目は無料、とかいうのに弱いのは、母のせいでしょうか。
”卸し値”というのにも弱くて。
写真は、幼馴染がくれた竹久夢二の塗り絵。
オリジナルと無色のものが入っています。
無色のほうが厚い紙。
もったいないので、ゼロックスしてから使っています。
by ymomen
| 2008-09-16 06:28
| 思い出
|
Trackback
|
Comments(12)
Commented
by
mi-mian at 2008-09-16 10:54
お母さま、素敵な方ですね〜!
きっと、小さな頃に、そういうものに触れることができたから、
今のもめんさんは、アートに興味があるのだかもしれませんね^^
夢二の塗り絵、美しいです。
この人の描く女性は、ほんとにしなやかで美しい。
きっと、小さな頃に、そういうものに触れることができたから、
今のもめんさんは、アートに興味があるのだかもしれませんね^^
夢二の塗り絵、美しいです。
この人の描く女性は、ほんとにしなやかで美しい。
0
Commented
at 2008-09-16 15:18
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
ymomen at 2008-09-16 23:48
Commented
by
ymomen at 2008-09-16 23:55
鍵さん、
そうなんです。
学校相手の本屋という商売は、町が過疎化していくにつれて売り上げに影響し、隣の製麺工場が売りにでたときに、父の希望で買ったのでした。
あらー、
わかります 笑。
実はジムもアートに興味がないひとで、旅行にでかけてもギャラリーとか美術館に興味がなく、つまらないと思っていました。
で、ジムとしばらく別れていたときに、アートに興味のあるひととつきあったら、彼はまるでわたしと同じく細かい性格で、自分がふたりいるみたいで喧嘩ばかり。
そこで、ジムのおおらかさ(大雑把さ!)に改めて価値を見出したのでした 笑。
でも近年になって、ジム、けっこう目が肥えてきたみたいで、建築に関するアートはわかるようになってきました。
うちの父も芸術肌。
駆け引きや商売は苦手です。
そうなんです。
学校相手の本屋という商売は、町が過疎化していくにつれて売り上げに影響し、隣の製麺工場が売りにでたときに、父の希望で買ったのでした。
あらー、
わかります 笑。
実はジムもアートに興味がないひとで、旅行にでかけてもギャラリーとか美術館に興味がなく、つまらないと思っていました。
で、ジムとしばらく別れていたときに、アートに興味のあるひととつきあったら、彼はまるでわたしと同じく細かい性格で、自分がふたりいるみたいで喧嘩ばかり。
そこで、ジムのおおらかさ(大雑把さ!)に改めて価値を見出したのでした 笑。
でも近年になって、ジム、けっこう目が肥えてきたみたいで、建築に関するアートはわかるようになってきました。
うちの父も芸術肌。
駆け引きや商売は苦手です。
Commented
by
nobukoueda at 2008-09-17 00:19
こどものときは本屋さんが大好きで夕食食べてから夜は遅くまでやっているすぐ近くの本屋さんでずっと立ち読みしたました^^;
あこがれの職業の一つでした。
これ知っています。私は有名な名画シリーズみたいなの教材用に買いました。子供たちにやってもらってもいいかしらと・・・色は自由にしてもいいかも・・・形はパーフェクトですから。
お母様・・・太っ腹・・おおらかでいいなあ~
あこがれの職業の一つでした。
これ知っています。私は有名な名画シリーズみたいなの教材用に買いました。子供たちにやってもらってもいいかしらと・・・色は自由にしてもいいかも・・・形はパーフェクトですから。
お母様・・・太っ腹・・おおらかでいいなあ~
Commented
by
kotokoto
at 2008-09-17 10:33
x
着物の色使いなど、ハイカラですね。
黒地に黄色の線。紫の襟、帯と今同じように着こなしても
絶対素敵だと思います。
もめんさんのおかあさん。
”東京タワー”を読んだ時の、”おかん”を思い出しました。
黒地に黄色の線。紫の襟、帯と今同じように着こなしても
絶対素敵だと思います。
もめんさんのおかあさん。
”東京タワー”を読んだ時の、”おかん”を思い出しました。
Commented
by
ymomen at 2008-09-17 23:37
Nobukoさん、
本屋、わたしも好きです。
帰国すると、まず行きたいのは本屋。
こどもが小さいとゆっくり見て回れないので、結局はオンラインで本の物色をしますが、実際本屋のなかをぶらつく喜びとは違いますよねえ。
ひとりで帰国できるときが来たら、古本屋などをのんびり廻りたいです。
塗り絵、ご存知でしたね。
こちらでもいろいろ出ています。
母は、男に生まれたらもっと本領を発揮できたのではないかと思います。
本屋、わたしも好きです。
帰国すると、まず行きたいのは本屋。
こどもが小さいとゆっくり見て回れないので、結局はオンラインで本の物色をしますが、実際本屋のなかをぶらつく喜びとは違いますよねえ。
ひとりで帰国できるときが来たら、古本屋などをのんびり廻りたいです。
塗り絵、ご存知でしたね。
こちらでもいろいろ出ています。
母は、男に生まれたらもっと本領を発揮できたのではないかと思います。
Commented
by
ymomen at 2008-09-17 23:40
Kotokotoさん、
大正のころのアートは独特ですよね。
大正ロマンという言葉がいまも残るくらいに。
”東京タワー”
読んでいません。
友人が”食堂かたつむり”という本を貸してくれて、”東京タワー”くらいいいと言っていました。
”東京タワー”も読んでみたいです。
うちの母みたいですか?
大正のころのアートは独特ですよね。
大正ロマンという言葉がいまも残るくらいに。
”東京タワー”
読んでいません。
友人が”食堂かたつむり”という本を貸してくれて、”東京タワー”くらいいいと言っていました。
”東京タワー”も読んでみたいです。
うちの母みたいですか?
Commented
by
555nao-ya at 2008-09-18 00:25
夢二、好いですね~*
本屋は私の迷宮です。
大人になったら何になる?子供の頃、他愛の無い質問をよくされたものです。
私は本屋になりたい、と答えていましたが、読書が好きと言うより、
漫画が読みたかったのです。
なので、どちらかと言うと、見る「本屋」。
未だに「読む」より「見る」本屋巡りです。
本屋は私の迷宮です。
大人になったら何になる?子供の頃、他愛の無い質問をよくされたものです。
私は本屋になりたい、と答えていましたが、読書が好きと言うより、
漫画が読みたかったのです。
なので、どちらかと言うと、見る「本屋」。
未だに「読む」より「見る」本屋巡りです。
Commented
by
ymomen at 2008-09-18 00:54
直やさん、
漫画ね。
わたしはいまだに漫画大好きですよ。
こどものころ、おとなは漫画など読まないのだろうと思っていたけど、わたしはそうじゃないおとなになりました。
いや、おとなになりきれていないのかもしれません。
本、読むのも好きですが、見たいもの。
わかります。
だから、本に写真や絵があるとうれしい。
それで自分のブログにも写真たくさん載せているんです。
漫画ね。
わたしはいまだに漫画大好きですよ。
こどものころ、おとなは漫画など読まないのだろうと思っていたけど、わたしはそうじゃないおとなになりました。
いや、おとなになりきれていないのかもしれません。
本、読むのも好きですが、見たいもの。
わかります。
だから、本に写真や絵があるとうれしい。
それで自分のブログにも写真たくさん載せているんです。
こんにちは
もうずっと昔に書き込みしたことがあるhiromiと言います
これも昔の話ですが・・・
私はよく母に「hiromiは竹久夢二のヘチマコロンの絵ににてるなぁ」と言われてました。私が絵を描くことが好きだったこともあって、母は私に竹久夢二の絵を見せる為に笠間にある「日動美術館」に連れて行ってくれました。当時、企画展で竹久夢二をやっていたんです
私に似ているかはともかく(笑)本物の迫力に震えました。どきどきして興奮がなかなかおさまらなかったです。
ymomenさんの記事を読んで母を思い出しました
その母は明日、新米を持って、孫に会いにやってきます~
もうずっと昔に書き込みしたことがあるhiromiと言います
これも昔の話ですが・・・
私はよく母に「hiromiは竹久夢二のヘチマコロンの絵ににてるなぁ」と言われてました。私が絵を描くことが好きだったこともあって、母は私に竹久夢二の絵を見せる為に笠間にある「日動美術館」に連れて行ってくれました。当時、企画展で竹久夢二をやっていたんです
私に似ているかはともかく(笑)本物の迫力に震えました。どきどきして興奮がなかなかおさまらなかったです。
ymomenさんの記事を読んで母を思い出しました
その母は明日、新米を持って、孫に会いにやってきます~
Commented
by
ymomen at 2008-09-21 08:30
Hiromiさん、
お久しぶりです。
お元気ですか。
本物、ご覧になりましたか。
わたしは拝見したことがないのです。
いつかそんな機会に恵まれたら幸いです。
もう新米の季節なんですね。
こちらに住んでいても、お米の袋に新米だと”New crop”というステッカーが貼られるので、この時期にお米がなくなると、新米が出ているかどうか気になって、新米がまだ売られていないと買うのを待ってようかという気になるんですよ。
お母さまのところでお米がとれるのでしょうか。
格別おいしいでしょうね。
お久しぶりです。
お元気ですか。
本物、ご覧になりましたか。
わたしは拝見したことがないのです。
いつかそんな機会に恵まれたら幸いです。
もう新米の季節なんですね。
こちらに住んでいても、お米の袋に新米だと”New crop”というステッカーが貼られるので、この時期にお米がなくなると、新米が出ているかどうか気になって、新米がまだ売られていないと買うのを待ってようかという気になるんですよ。
お母さまのところでお米がとれるのでしょうか。
格別おいしいでしょうね。