2007年 09月 24日
"The Sheltering Sky" |
"The Sheltering Sky"

亡き須賀敦子さんの書評集”本に読まれて”に収録されている、ポール・ボウルズのくだりを読んでから、著書の”The Sheltering Sky"を読み、映画化されたものをずっと観たいと思っていました。
"The Last Emperor"を監督したベルトリッチの作品ということで、期待は膨らみました。
音楽も”The Last Emperor"と同じく、坂本龍一さん。
地元の図書館にも、レンタルDVD屋さんにも、アマゾンのオンラインでも見つからず。

先に見た”Ripley's Game"を観て、ジョン・マルコヴィッチがとてもいいと思うようになってから、もう、なんとかして”The Sheltering Sky"を探さなければ、とムキにでもなったようでした。

自分の見たい映画は、もともと近辺で探すのに苦労していました。
ブロックバスターのお店によく行きますが、そこでオンラインとの併用のプログラムがあるというので、オンラインでいくつかお店にはない映画を調べてみると、ちゃんとあるのです。
全部ではありませんが。
で、早速注文して、二日で、この映画が郵便で届きました。

この映画で、ジョン・マルコヴィッチの妻の役が、デボラ・ウインガー。
これに、わたしはちょっと見る前から納得できない気持ちでいました。
この女優さん、わたしはあんまり好きではないからです。
ビリー・クリスタルが彼女と共演したときに、冗談で、”ハイエナのように笑う”と言っていましたが、ほんとにそうだと、ビリー・クリスタルの表現力に感心したくらいです。

わたしが間違っていました。
デボラ・ウインガーは適役です。
サハラ砂漠を転々と旅する夫妻とその友人ひとり。
赤い砂漠を背景に、互いの腹を探り合いながら、少しずつ傷つけあいながら、贅沢でもあり過酷な旅路が続きます。

病に侵されて、やがては死ぬ夫。
夫をそこに置き去りにして、砂漠にさまよう妻。
病から夫を救うことに妻は懸命ですが、それは夫を愛しているから、というよりも、砂漠にひとり自分が置き去りにされたくないという、救いを求めているようにも思えます。

妻は砂漠の民に拾われるのですが、そこで彼女に与えられるのは、囚われの身分。
いずれはアメリカ大使館から救われるのですが、彼女の魂はもう帰国できないほどに病んでいます。

フランス領であった影響を色濃く残しながらも、サハラの地に住む人と風土は、しっかりと巨大な生き物のように、この地に面白半分に足を踏み入れる人を飲みこんでしまうかのよう。
ポール・ボウルズは、西欧に生まれながら、アラブの世界に安住の地を求めた人。
その地は、モロッコ、タンジール。
西欧の社会と折り合いが悪く、わき道から裏通りをさまよって、暗い棲家を見つけたような。

実を言うと、わたしが日本からアメリカにやってきたのも、ちょっとそんなところがあるのです。
自分にあう水を求めて、というか。

この映画にやっとめぐりあう前、ポール・ボウルズの作品をありったけ読んだために、ちょっと混乱していました。
なぜなら、彼の作品の舞台がどれもアラブの世界で、登場人物は、そこにさまよいこんだ西欧人だから。
怪しげなところを覘いていけば、本能は、危ないぞ、と言っているのに、好奇心に負けて入り込めば、その沼地にどんどん足をとられて出口がわからなくなる、というような。
どの作品もそんな意味で似通っているので、すべての作品が関連しているかのように思えるのです。

ベルトリッチという監督は、”The Sheltering Sky"にしても、”The Last Emperor"にしても、西欧人がエキゾチックと見る異文化を、より魅力的に魅せるひとだなあ、と思います。
*写真は、どれも”The Sheltering Sky”からです。

亡き須賀敦子さんの書評集”本に読まれて”に収録されている、ポール・ボウルズのくだりを読んでから、著書の”The Sheltering Sky"を読み、映画化されたものをずっと観たいと思っていました。
"The Last Emperor"を監督したベルトリッチの作品ということで、期待は膨らみました。
音楽も”The Last Emperor"と同じく、坂本龍一さん。
地元の図書館にも、レンタルDVD屋さんにも、アマゾンのオンラインでも見つからず。

先に見た”Ripley's Game"を観て、ジョン・マルコヴィッチがとてもいいと思うようになってから、もう、なんとかして”The Sheltering Sky"を探さなければ、とムキにでもなったようでした。

自分の見たい映画は、もともと近辺で探すのに苦労していました。
ブロックバスターのお店によく行きますが、そこでオンラインとの併用のプログラムがあるというので、オンラインでいくつかお店にはない映画を調べてみると、ちゃんとあるのです。
全部ではありませんが。
で、早速注文して、二日で、この映画が郵便で届きました。

この映画で、ジョン・マルコヴィッチの妻の役が、デボラ・ウインガー。
これに、わたしはちょっと見る前から納得できない気持ちでいました。
この女優さん、わたしはあんまり好きではないからです。
ビリー・クリスタルが彼女と共演したときに、冗談で、”ハイエナのように笑う”と言っていましたが、ほんとにそうだと、ビリー・クリスタルの表現力に感心したくらいです。

わたしが間違っていました。
デボラ・ウインガーは適役です。
サハラ砂漠を転々と旅する夫妻とその友人ひとり。
赤い砂漠を背景に、互いの腹を探り合いながら、少しずつ傷つけあいながら、贅沢でもあり過酷な旅路が続きます。

病に侵されて、やがては死ぬ夫。
夫をそこに置き去りにして、砂漠にさまよう妻。
病から夫を救うことに妻は懸命ですが、それは夫を愛しているから、というよりも、砂漠にひとり自分が置き去りにされたくないという、救いを求めているようにも思えます。

妻は砂漠の民に拾われるのですが、そこで彼女に与えられるのは、囚われの身分。
いずれはアメリカ大使館から救われるのですが、彼女の魂はもう帰国できないほどに病んでいます。

フランス領であった影響を色濃く残しながらも、サハラの地に住む人と風土は、しっかりと巨大な生き物のように、この地に面白半分に足を踏み入れる人を飲みこんでしまうかのよう。
ポール・ボウルズは、西欧に生まれながら、アラブの世界に安住の地を求めた人。
その地は、モロッコ、タンジール。
西欧の社会と折り合いが悪く、わき道から裏通りをさまよって、暗い棲家を見つけたような。

実を言うと、わたしが日本からアメリカにやってきたのも、ちょっとそんなところがあるのです。
自分にあう水を求めて、というか。

この映画にやっとめぐりあう前、ポール・ボウルズの作品をありったけ読んだために、ちょっと混乱していました。
なぜなら、彼の作品の舞台がどれもアラブの世界で、登場人物は、そこにさまよいこんだ西欧人だから。
怪しげなところを覘いていけば、本能は、危ないぞ、と言っているのに、好奇心に負けて入り込めば、その沼地にどんどん足をとられて出口がわからなくなる、というような。
どの作品もそんな意味で似通っているので、すべての作品が関連しているかのように思えるのです。

ベルトリッチという監督は、”The Sheltering Sky"にしても、”The Last Emperor"にしても、西欧人がエキゾチックと見る異文化を、より魅力的に魅せるひとだなあ、と思います。
*写真は、どれも”The Sheltering Sky”からです。
by ymomen
| 2007-09-24 10:53
| 映画・テレビ
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Trackback
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Comments(12)
ああ〜、もめんさん、ますます見たいですよこの映画。
今のところ、こちらでは見つかっていません。海賊版で探そうかという、いけない考えが私の頭の中をよぎる・・・。
ジョン・マルコビッチの演技に、ベルトルッチ&坂本龍一というだけで、私的に「外れ」ということはあり得ないと思っていましたが、あらすじを読ませていただいたら、私も原作を読みたくなりました。
ところで、デボラ・ウィンガーの「ハイエナのような笑い声」、私も中学生という多感な時期に映画館で観た「愛と青春の旅立ち」の中で聞いて、強烈なインパクトを受けました。
以来、私にとってのデボラ・ウィンガーは「笑い声がコワい人」だったのですが、「The Sheltering Sky」を観てイメージ一掃したいです。
今のところ、こちらでは見つかっていません。海賊版で探そうかという、いけない考えが私の頭の中をよぎる・・・。
ジョン・マルコビッチの演技に、ベルトルッチ&坂本龍一というだけで、私的に「外れ」ということはあり得ないと思っていましたが、あらすじを読ませていただいたら、私も原作を読みたくなりました。
ところで、デボラ・ウィンガーの「ハイエナのような笑い声」、私も中学生という多感な時期に映画館で観た「愛と青春の旅立ち」の中で聞いて、強烈なインパクトを受けました。
以来、私にとってのデボラ・ウィンガーは「笑い声がコワい人」だったのですが、「The Sheltering Sky」を観てイメージ一掃したいです。
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この映画、昔みたいなーと思っていてそのまま見ずに時間が過ぎちゃいました。
私が想像していたあらすじとは全然違ってたので(^^;)いつか見てみたい映画リストに加わりました。(なぜか、私は恋愛+サスペンスものの映画だと思い込んでいました・・・)
もめんさんが「自分に合う水をもとめて」と書いてらっしゃるのを読んで、私にもあてはまるなあ・・・と思いました。
そして自分に合う場所を探してここまでたどり着いたような気がします。
私が想像していたあらすじとは全然違ってたので(^^;)いつか見てみたい映画リストに加わりました。(なぜか、私は恋愛+サスペンスものの映画だと思い込んでいました・・・)
もめんさんが「自分に合う水をもとめて」と書いてらっしゃるのを読んで、私にもあてはまるなあ・・・と思いました。
そして自分に合う場所を探してここまでたどり着いたような気がします。
何かねー、この映画、見たことがある気がするの。
病気の場面や、助けられるけど、すさんでしまっている気持ち。
深夜映画で。名前も知らずに。
この、やり切れない感じ、
「イングリッシュペイシェント」を思い出しました。
春に読んでいた本の中にも、似たようなものがありました。
切ない。本当にありそうなお話だよね・・・。
病気の場面や、助けられるけど、すさんでしまっている気持ち。
深夜映画で。名前も知らずに。
この、やり切れない感じ、
「イングリッシュペイシェント」を思い出しました。
春に読んでいた本の中にも、似たようなものがありました。
切ない。本当にありそうなお話だよね・・・。
自分に合う水を求めてアメリカにやって来たもめんさん…。
かっこいい~♪
かっこいい~♪
preciousさん、
デボラ・ウインガー、やっぱり同じようにお思いになりますか。
いかにも、アメリカ女性の豪快なキャラクター、ですよね。
そちらでも、なかなか見つからないDVDなのですね。
どういうことでしょう。
興行的に成功しなかったのかもしれません。
アメリカでは、うけない類の映画でしょうね。
DVDのバーナーがあれば、コピーしてさしあげるのに、残念です。
デボラ・ウインガー、やっぱり同じようにお思いになりますか。
いかにも、アメリカ女性の豪快なキャラクター、ですよね。
そちらでも、なかなか見つからないDVDなのですね。
どういうことでしょう。
興行的に成功しなかったのかもしれません。
アメリカでは、うけない類の映画でしょうね。
DVDのバーナーがあれば、コピーしてさしあげるのに、残念です。
Saoriさん、
ちょっと、うっとうしい類いのストーリー展開なので、気が滅入っているときには、最後まで観れないものかもしれません。
Saoriさんも、そうですか?
いまになって言えるけど、わたしの場合は、日本では煮詰まっている自分がいて、その状況をなんとか変えたかった、自分を変えたかった、というのが本音です。
かと言って、ここにこれだけ長く居つくことになるなんて、思っていませんでしたが。
ちょっと、うっとうしい類いのストーリー展開なので、気が滅入っているときには、最後まで観れないものかもしれません。
Saoriさんも、そうですか?
いまになって言えるけど、わたしの場合は、日本では煮詰まっている自分がいて、その状況をなんとか変えたかった、自分を変えたかった、というのが本音です。
かと言って、ここにこれだけ長く居つくことになるなんて、思っていませんでしたが。
juliaさん、
なんだか葛藤しているうちに、半分なげやりになって、どうでもよくなって、ずるずるともがいている、という、いささか気の滅入るお話ではあります。
”イングリッシュペイシャント”
この映画こそ、薄ぼんやりとしか覚えていません。
ぼーっと、素通りしていて、あとでしっかり覚えていない映画って、けっこうたくさんあるものですよね。
なんだか葛藤しているうちに、半分なげやりになって、どうでもよくなって、ずるずるともがいている、という、いささか気の滅入るお話ではあります。
”イングリッシュペイシャント”
この映画こそ、薄ぼんやりとしか覚えていません。
ぼーっと、素通りしていて、あとでしっかり覚えていない映画って、けっこうたくさんあるものですよね。
この映画、ちょっと重いような気がしていしまい、
未だ見れずにいる映画です....。
そうこうしているうちに、近所のレンタル屋さんがなくなってまい、
さらに見づらくなってしまった、、。やっぱり、見れる時に
気になるものは見ておかないと、駄目ですねえ、、。
↓(過去記事コメントですいません〜)
わ〜、わんぱく君、かっこいい☆
ハロウィンまでまだまだあるけれど、
何度もこの衣装、着てそうですね^^
焼うどん。。。。これ、食べたいです!!
うどんから手作りだなんて!!パスタマシーンで作るということは、
ちょっときしめん風なのでしょうか?ああ、食べたい!!
もめんさんのところには、やっぱり誘惑が盛りだくさん(笑)
未だ見れずにいる映画です....。
そうこうしているうちに、近所のレンタル屋さんがなくなってまい、
さらに見づらくなってしまった、、。やっぱり、見れる時に
気になるものは見ておかないと、駄目ですねえ、、。
↓(過去記事コメントですいません〜)
わ〜、わんぱく君、かっこいい☆
ハロウィンまでまだまだあるけれど、
何度もこの衣装、着てそうですね^^
焼うどん。。。。これ、食べたいです!!
うどんから手作りだなんて!!パスタマシーンで作るということは、
ちょっときしめん風なのでしょうか?ああ、食べたい!!
もめんさんのところには、やっぱり誘惑が盛りだくさん(笑)
mi-mianさん、
間違いなく重い類いの映画です。
アメリカ人の夫には、耐えられない映画と確信しているので、そう釘を刺しておきました。
観ておかないと、という映画でもないですよ。
と、ここまで書いておいて失礼でしょうか。
でも、あるムードでないと、観るに耐えられない映画といえるような気もします。
きょうも、わんぱくは、スパイダーマンでした。
ハロウイン当日には、このコスチューム、ぼろぼろになってるかもしれません(笑)
でも、ちょっと浮気心がでてきて、やっぱりパワーレンジャーがいい、などとも言っております;
きしめん風、です。
麺の幅が広いですからね。
もちもちしていて、おいしいですよ。
間違いなく重い類いの映画です。
アメリカ人の夫には、耐えられない映画と確信しているので、そう釘を刺しておきました。
観ておかないと、という映画でもないですよ。
と、ここまで書いておいて失礼でしょうか。
でも、あるムードでないと、観るに耐えられない映画といえるような気もします。
きょうも、わんぱくは、スパイダーマンでした。
ハロウイン当日には、このコスチューム、ぼろぼろになってるかもしれません(笑)
でも、ちょっと浮気心がでてきて、やっぱりパワーレンジャーがいい、などとも言っております;
きしめん風、です。
麺の幅が広いですからね。
もちもちしていて、おいしいですよ。
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵さん、
ひとりで見る映画は、かなりあります。
夫がひとりで見る映画も。
彼はエグイホラー映画をときどき観ています 笑。
わたしはここのところソフィア・ローレンの古い映画。
彼女って、豊満な体つきというイメージがあったのですが、細長い手足に細いウエスト、いまどきモデルのなかでこんな強烈な個性とこれだけのプロポーションをさがしてもいない、とため息です。
ベルトリッチ監督というひとの私生活、
どんなかしら、と想像しています。
ヴィスコンティの美意識に似ているようで、そこまで貴族の血、というわけでもなく。
ひとりで見る映画は、かなりあります。
夫がひとりで見る映画も。
彼はエグイホラー映画をときどき観ています 笑。
わたしはここのところソフィア・ローレンの古い映画。
彼女って、豊満な体つきというイメージがあったのですが、細長い手足に細いウエスト、いまどきモデルのなかでこんな強烈な個性とこれだけのプロポーションをさがしてもいない、とため息です。
ベルトリッチ監督というひとの私生活、
どんなかしら、と想像しています。
ヴィスコンティの美意識に似ているようで、そこまで貴族の血、というわけでもなく。

