2006年 11月 14日
"The Private World of Katharine Hepburn" Photographed by John Bryson |
わたしの大切な本の1冊に、亡くなった女優のキャサリーン・ヘップバーンの写真集があります。
絶版になっているこの本のタイトルは、"The Private World of Katharine Hepburn"
写真家のJohn Bryson氏の名前が表紙を飾っています。
発行元はLittle, Brown & Company。
出版されたのは1990年。
10年以上前に、本屋さんのバーゲンで買ったと記憶しています。
写真家の腕も確かなのでしょうけど、キャサリーン・ヘップバーンという被写体の魅力が大きいのは誰もが認めることでしょう。
以下の全てのイメージはこの写真集からのものです。
老年の域に入った彼女の写真ばかりで、手はしみと皺で覆われており、手足の指は曲がっている。
髪も顔も、彼女の年齢をあらわにしています。
それでも彼女は確かな自分を知っていて、自信に満ちています。
こんにちのハリウッドでは、まだ若いうちから整形手術をするのは珍しくなく、わたしのまわりでさえ、フェイス・リフティングなどの話は耳にします。
輝くほど美しいと思えるニコル・キッドマンほどの人でも、最近の彼女を見ると、なにか人工的な処置をしているのがわかります。
わたしも白髪や皺としみが気になる年齢になり、美容整形があたりまえのような風潮のなかにいると、わたしもやってみようかしら、という気持ちになる一方、ヘップバーンのこの写真集を手にとるたびに、美容整形など人生に矛盾したことのように思えてきます。
ヘップバーン本人の写真はもちろん、彼女の愛したコネチカットの家とニューヨーク市内のタウンハウスの様子も写されているのが、大きく興味をひかれるところです。
"Town and Country"という雑誌(2006年10月号)に、ヘップバーンが亡くなって、この家を購入して、リノベーションした後の数々の写真が公開されていました。ぴかぴかの何もかも新しく清潔で合理的に生まれ変わった屋敷はすばらしいけど、ヘップバーンがかつて住んでいた面影は写真で見る限り、なくなっていました。
上下の3葉はコネチカットの家の中の様子。
何もかも古びていて、擦り切れていて、混沌としているのにすてき。
この写真集を何度も手に取るにつけ、シーツや服のほころびをつくろいながら、長くつきあっていくという楽しみがわかるようになった気がします。
ヘップバーンの台所(下)。
ひとさまのお宅を拝見するのが好きで、とりわけ台所には興味があります。
使いやすそうな台所です。
チキンパプリカを作っている風景だそうな。
(下)ヘップバ-ンの着ているピンクのシャツの大きなかがり(左)!
髪をロールするローラーは新聞紙を丸めて作ったお手製(真ん中)
カーラーの太さを調節できるのと、濡れた髪の水分をほどよく吸い取る具合がいいのだそうです。
(下)髪を巻いたら、こうやって乾かしている。
愛おしいほどの不合理!
(下2葉)庭木の手入れまでやってのけるこの逞しさ、見習いたいです。
(下)コネチカットの家のほぼ全景。
(下)新しいものも、ファッショナブルなものもないのに、いい。
(下)いつか子どもが大きくなって、夫にかまわなくてよくなったら(問題発言?!)、こうして半日ベッドで過ごしたい。
(下)ロケ地でのお昼ごはん。
ピクニックも形にとらわれないで、どんなのもあり、ということを教わりました。
白状すると、ヘップバーンの映画そのものは、ちらりとしか観たことがありません。
だから女優としてのファンとは言いかねるけど、彼女のスタイルに傾倒しています。
by ymomen
| 2006-11-14 13:12
| 特別な本
|
Trackback(1)
|
Comments(6)
Tracked
from Strawberry a..
at 2011-11-27 00:18
タイトル : The Private World of Kathari..
今から5年前、アメリカに住むお姉さんと慕わせてもらってるもめんさんのブログの記事でこの本のことを知りました。 ヘップバーン、と言えばオードリー・ヘップバーンの方が日本人には馴染み深いかな、と思うんですが、オードリーと同じくらい私の中では大きな影響力を持ってるのがこちらのキャサリン・ヘップバーン女史です。 5年前ブログでこの本の存在を知ってから、地道にチャリティショップで探していたのですが(一度オックスファムで見つけた事があったのですが、なんと!非売品シールが貼ってあって買うことが出...... more
今から5年前、アメリカに住むお姉さんと慕わせてもらってるもめんさんのブログの記事でこの本のことを知りました。 ヘップバーン、と言えばオードリー・ヘップバーンの方が日本人には馴染み深いかな、と思うんですが、オードリーと同じくらい私の中では大きな影響力を持ってるのがこちらのキャサリン・ヘップバーン女史です。 5年前ブログでこの本の存在を知ってから、地道にチャリティショップで探していたのですが(一度オックスファムで見つけた事があったのですが、なんと!非売品シールが貼ってあって買うことが出...... more
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hawaii_oslo at 2006-11-17 23:43
こんにちは。こちらにも素敵な女性が...。
キャサリン・ヘップバーンは名前だけは聞いた事があったけど、映画は観ていないかも。でも本当にカッコいい女性ですね。
黒のネッカチーフがカッコいい。私もニコールのつるつるお肌を観ていると、何だか不自然な人形みたいで気持ち悪くなります。
コネティカットというと、またニューイングランドですね。ニューイングランドの田舎にますます興味がわいて来ます。
キャサリン・ヘップバーンは名前だけは聞いた事があったけど、映画は観ていないかも。でも本当にカッコいい女性ですね。
黒のネッカチーフがカッコいい。私もニコールのつるつるお肌を観ていると、何だか不自然な人形みたいで気持ち悪くなります。
コネティカットというと、またニューイングランドですね。ニューイングランドの田舎にますます興味がわいて来ます。
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ymomen at 2006-11-18 05:02
hawaii_osloさん、
早速こちらにも来てくださってありがとうございます。この投稿にはどなたもコメントくださらなかったから、よけい嬉しいです(wingさんは違う投稿記事へのコメントにこのことも触れてくださったけど)。
親族はイーストコーストにいますが、渡米以来住んでいるのはコロラド州だけなので、よその地への憧れが大きいです。
これからもどうぞ、よろしく。
早速こちらにも来てくださってありがとうございます。この投稿にはどなたもコメントくださらなかったから、よけい嬉しいです(wingさんは違う投稿記事へのコメントにこのことも触れてくださったけど)。
親族はイーストコーストにいますが、渡米以来住んでいるのはコロラド州だけなので、よその地への憧れが大きいです。
これからもどうぞ、よろしく。
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さらり
at 2009-05-05 00:52
x
14年ほど前ニュージーランドでホームステイしていた家の近所に
図書館があり、このキャサリンの写真集を見ました。
彼女の映画は見たことがなかったのですが、そのインテリア、スタイル
とっても魅了され、とってもちゃちですが必死でノートに書き写しました。
無造作に束ねた髪や、セーターを肩にかけて颯爽と歩く姿が、焼きついています。
帰国してその写真集を手に入れたいと思っていたのですが、探せずにいました。今日、15年ぶりに写真を見ることができて、懐かしく嬉しさでいっぱいです。
図書館があり、このキャサリンの写真集を見ました。
彼女の映画は見たことがなかったのですが、そのインテリア、スタイル
とっても魅了され、とってもちゃちですが必死でノートに書き写しました。
無造作に束ねた髪や、セーターを肩にかけて颯爽と歩く姿が、焼きついています。
帰国してその写真集を手に入れたいと思っていたのですが、探せずにいました。今日、15年ぶりに写真を見ることができて、懐かしく嬉しさでいっぱいです。
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ymomen at 2009-05-05 03:33
さらりさん、
はじめまして。
今朝友人と歩きながら、ひとりの友人がキャサリン・ペッブバーンのバイオグラフィーを読んでいるという話をしていて、帰宅してパソコンを開けたら、こんな過去の記事にコメントくださっているので、あら、と思いました。
うれしいです。
彼女のスタイル、独特ですよね。
ハリウッドの美の基準とは違っている。
ものを長く使うことによって生まれる美、整然としたものばかりが美ではないこと、そのなかで生きていてこそ、美しいということを学んでいます。
この写真集、絶版なんですよ、残念ながら。
どこかの古本屋さんでめぐり合えたらいいですね。
はじめまして。
今朝友人と歩きながら、ひとりの友人がキャサリン・ペッブバーンのバイオグラフィーを読んでいるという話をしていて、帰宅してパソコンを開けたら、こんな過去の記事にコメントくださっているので、あら、と思いました。
うれしいです。
彼女のスタイル、独特ですよね。
ハリウッドの美の基準とは違っている。
ものを長く使うことによって生まれる美、整然としたものばかりが美ではないこと、そのなかで生きていてこそ、美しいということを学んでいます。
この写真集、絶版なんですよ、残念ながら。
どこかの古本屋さんでめぐり合えたらいいですね。
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さらり
at 2009-05-07 22:01
x
過去のブログだからお返事はないだろうと思ってました。感激です。
あのあと、ネット中探しまして、古本で購入することができました。
アメリカから今月中に届く予定です。このブログのおかげで、タイトルがわかり、めぐりあうことができました。本当に感謝感謝です。
これまでもネットや大型書店でずっと探していたのに見つからなかったんです。タイトルがわからなかったばかりに。
お友達とのお話から、数年ぶりにこの欄をmomenさんが
ご覧になったことも本当に不思議です☆☆☆
あのあと、ネット中探しまして、古本で購入することができました。
アメリカから今月中に届く予定です。このブログのおかげで、タイトルがわかり、めぐりあうことができました。本当に感謝感謝です。
これまでもネットや大型書店でずっと探していたのに見つからなかったんです。タイトルがわからなかったばかりに。
お友達とのお話から、数年ぶりにこの欄をmomenさんが
ご覧になったことも本当に不思議です☆☆☆
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ymomen at 2009-05-08 01:09
さらりさん、
過去の記事にコメントくださることこそ、光栄なことだとうれしかったです。
購入なさいましたか。
いいコンディションのものだといいですね。
ブログをしていると、何がキーワードで自分のブログがヒットしたかというデータが見れるのですが、この記事を書いて以来、定期的にこの本のタイトルで検索なさる方がおられるようです。
彼女のバイオグラフィーは数冊出ているようですが、これほど彼女の素のスタイルを収録した写真集というものはないからでしょうか。
過去の記事にコメントくださることこそ、光栄なことだとうれしかったです。
購入なさいましたか。
いいコンディションのものだといいですね。
ブログをしていると、何がキーワードで自分のブログがヒットしたかというデータが見れるのですが、この記事を書いて以来、定期的にこの本のタイトルで検索なさる方がおられるようです。
彼女のバイオグラフィーは数冊出ているようですが、これほど彼女の素のスタイルを収録した写真集というものはないからでしょうか。