2026年 03月 01日
靴箆 |
靴箆
靴べらの”べら”は、箆
こんな漢字、習わなかった。
書いたこともなければ読んだこともない。
パソコンの漢字変換機能が助けてくれなかったら知らない、書けない文字だ。
読めるのに書けない文字もたくさんあって、手紙を書くとき、どうだったっけ、と調べる。
本書きするまえにいちど書いてみないと、文字のバランスがつかめないほどに書き慣れていない漢字は多い。
ふだんそのへんの使いに出るときは、ミュールとかクロッグというつっかけ履きだ。
そんな支度で運転すると、父が不安がっていた。
日本ではつっかけ履きで運転してはいけないことになっていると言ったけど、ほんとうか。
散歩とジムに行くときだけはスニーカーを履いて、しっかり足に沿わせて履き、紐も固く結ぶ。
靴箆を探すようになったのはどういうわけか。
いままで指で踵を押し込んでいたのに問題なかったのに、このごろは靴箆を使う。
うちには夫や義父が使っていたものがみっつある。
メタル、プラスチック、もうひとつは牡牛の角でできている。
角製がいちばん美しい。
手触りも滑りも格別だ。
見るほどに美しい。
実家の玄関にも靴箆はあった。
父が玄関先で中腰になって靴箆を使った姿を覚えている。
母が使った姿は記憶にない。
手持ちの部分が長かったけれど、何でできているのか覚えない。
いまどきのアメリカ人も靴箆を使うのかと、アマゾンで検索したら、よりどりみどり。
販売元の名前からすると、ここでもC国製が多い。
牡牛の角製というものもまだ販売されているが、値が張る。
オークションサイトでは、ホテルチェーンや、メンズスーツメーカーのブランド入りのコレクションというのもあって、おおむねプラスチック製だが、こういうのを収集し始めたらとことんあらゆるものを探したくなるだろうと思う。
柄が杖ほどに長いのは老人向けで、靴下を履く助けにもなっている。
身体が硬くなって、靴下や靴を履くのも、足の爪を切るにも、手が届かなくなった父と義父を思い出す。
夫は足の爪を切るのに苦労するようになった。
彼の足の爪は分厚くなって、シャワーのあとにいくらかふやけないと切れないほどだ。
硬いまま切ってやると、爪が顔に飛んで、それらは鋭利で痛いほどだ。
帰省して、福祉のヘルパーさんが訪問してくれたとき、父の足の爪がのびきって、丸く下方にカールしていたのを洗面器に足を浸しながら切ってくれた。
父よりも先にアルツハイマーに病んだ母にはそんな気回しはできなかった。
帰省していたわたしも気づかなくて、父が哀れだった。
ヘルパーさんにすまないのと感謝の同時の思いだった。
夫には気を付けてやろうと思った。
わたしの足の裏の皮は、若かったころから硬くて、専用のカミソリで削ぐ。
馬の蹄を抱え込んで削るのを初めてみたとき、わたしも同じことをしている、と思った。
2週間に一度は削ぐ。
いままで削いだ角質が足の裏側に蓄積していたら、いまのわたしの身長は20㎝ほどは高くなっているかと思う。
素足にぬるぬるした液がはいっているプラスチック製のソックスを1時間履いて、洗い流すと、数日後には古い靴下を脱ぐかのように、めりめり、ぼろりぼろりと角質がはがれる、というのもときどきする。
剝れるまで、足の皮がつっぱり、むずむずして、蛇が殻を脱ぐ時もこんなんだろうかと想像する。
by ymomen
| 2026-03-01 02:57
| 装い
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Comments(2)
momenさん、こんにちは!
考えてみると 私も靴べらの漢字が靴箆だということさえ知りませんでした。 学校で習った覚えもありませんし きっとペンで書こうとしても靴べらとしか書けないです。
そういえばうちの実家の玄関にもいつだって靴べらが下がっていたのを思い出しました。 我が家には一本長い靴べらがありますが、それはHip Replacementの術後に屈む姿勢はとってはいけないということで立ったまま履けるように病院から渡されたもので、滅多に使う事はありません。
こちらの人って玄関で靴を脱ぐという習慣がない人がほとんどだと思うので クローゼットとかが靴べらの所定位置なのかな?
考えてみると 私も靴べらの漢字が靴箆だということさえ知りませんでした。 学校で習った覚えもありませんし きっとペンで書こうとしても靴べらとしか書けないです。
そういえばうちの実家の玄関にもいつだって靴べらが下がっていたのを思い出しました。 我が家には一本長い靴べらがありますが、それはHip Replacementの術後に屈む姿勢はとってはいけないということで立ったまま履けるように病院から渡されたもので、滅多に使う事はありません。
こちらの人って玄関で靴を脱ぐという習慣がない人がほとんどだと思うので クローゼットとかが靴べらの所定位置なのかな?
1
> Ziggyusさん
あ、そうでした。
ここでは靴を玄関では脱がないのでした。
ならば寝室のクロゼットですよね。
土足靴が洋服とおなじところにしまわれているって、いまになっても不思議です。
箆、という字、まったく親しみのない字なので、中国でしか使われない漢字のひとつかと思いましたよ 笑
そういう漢字を見せられて、なんと読むのか訊かれて、これは日本の漢字ではない、というときのように。
あ、そうでした。
ここでは靴を玄関では脱がないのでした。
ならば寝室のクロゼットですよね。
土足靴が洋服とおなじところにしまわれているって、いまになっても不思議です。
箆、という字、まったく親しみのない字なので、中国でしか使われない漢字のひとつかと思いましたよ 笑
そういう漢字を見せられて、なんと読むのか訊かれて、これは日本の漢字ではない、というときのように。


