2025年 08月 27日
うそつき鏡 |
数年前にくるぶしの丈に裾上げしたパンツはしっくりこなくなって、裾延ばしした。
バランスを見極めるのに、あきらの姿見をわたしの部屋に持ち込んだ。
鏡はあるが、全身をうつす鏡を持ち合わせてなかった。
あきらは高校時代にひとつ買い、ドアの内側に貼った。
大学でのアパート暮らしにもう一枚買ったのを持ち帰ったので、1枚余分にあるのだ。
装いは全身が丸ごと見えないとわからない、とこの子はそういうところに細かい。
それに映るわたしはとたんに足長に見える。
この鏡はうそつきだよ、と指摘したら、鏡が壁に密着してなくて、床に立てかけてあるから下から見上げる傾斜のせいでそう見えるのだとあきらが訂正した。
なるほど。
わたしたちは己の目線で常にすべてを観察している。
視点が低ければ印象は変わる。
地に近い犬の視点に近いのか。
犬にはわたしが足長に見えているか。
ブティークの試着室にはめこんである鏡は、縦長に見える細工をしているものもある、と読んだこともある。
スタイルよく着こなしている姿に満足して購買欲をあおる。
持っているジーンズをすべて着てみて、似合わないものを処分しようとしても、何を着てもこの鏡にうつるわたしはなかなかさまになっているので、片付かない。
やっぱりいんちきだなあ、と思うけど、いまどきのセルフィ―のアプリケーションには画像を加工する機能がいろいろあって、それだってうそつきといえばうそつきだ。
出産して間もない若い母親が愛らしい赤ちゃんを連れていて、携帯電話で赤ちゃんの写真を見せてくれるのは、加工済みの写真ばかりで、ここで実際に対面している赤ちゃんは完璧にかわいいのに、加工するのは赤ちゃんに失礼じゃない、と思った。
ありのままの姿では満足できてないみたいである。
美容整形したがるひとの心理と似ていないか。
加工写真ばかりしかなければ、あとになって、ほんとはどんな赤ちゃんだったのか、思い出せるだろうか。
日々化粧するのも、自分を修正しているということで、ちょっと嘘をついているということにもなるかもしれない。
僅かに年上のともだちは目元のたるみの手術をしたいと言っている。
喉元のたるみを気にしているのはわたしも同じだが、セルフィ―するとき、携帯電話を上に掲げて見上げて撮ると首も顔の皺も目立たないのよ、と教えてくれて、義妹のセルフィ―はいつも美しく、そういうポーズばかりなのに気がついた。
彼女は美しいに違いないうえ、渡米前、ペルーでモデルをしていたから、写され上手だ。
彼女の写真はどれも使える。
わたしは、と言えば目をつむっていたり、ぼんやりしていたり、まったくいやになる。
そういうことに疎いわたしだって、上の写真を撮るとき、真正面より、斜めに撮るのがさまになるということを知っている。
いつか坂東玉三郎さんが、”斜めの美”というようなことを語っておられた受け売りだ。
うそつき鏡と対面してから二日も経てば、それにうつる自分に慣れて、それが自分だと思うようになる。
嘘の自分がほんとうの自分だと思うようになる。
写真加工した自分の姿に慣れれば、加工後の自分こそが真の姿だと思うようになるのだろうか。
録音された自分の声を初めて聞いたとき、頭蓋骨のなかで聴いた声とは違ったように、ひとは案外自分を知らないものなのか。
自分が作り上げた偶像は、ひとが見るものとは違うということもありえないか。
通りすがる鏡に映る自分が母や祖母に見えることがある。
鏡はそうやって絶えずひとをかどわかしているか、真の姿を隠しているか、あるいは向こう側の世界は、異界なのかもしれない。
by ymomen
| 2025-08-27 01:31
| アメリカの季節
|
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Comments(9)
こんにちは。
もめんさん、スタイルいいですね。素晴らしいです。腕だってちゃんと筋肉がついていて、どこも弛んでいません。やはりジムに行って鍛えているからですね。
自分の顔は鏡か写真でしか見ることができませんから、いつだって100%本物は見れないんですよね。
合唱では、私が一番年長者で、指揮をしていると若い皆の顔ばかり見ているわけで、帰ってきて鏡で自分の顔を見ると皺だらけでがっかりします。若い顔を見ていると自分もそうだと錯覚をしているのですよね。その代わり自分より年長者ばかりの顔を見てから、自分の顔を見ると、案外若いと自己満足するのです。結局相対的にしか見ることができないのかもしれません。
最近は自分の顔が姉や母に似ていると思うことが増えました。
もめんさん、スタイルいいですね。素晴らしいです。腕だってちゃんと筋肉がついていて、どこも弛んでいません。やはりジムに行って鍛えているからですね。
自分の顔は鏡か写真でしか見ることができませんから、いつだって100%本物は見れないんですよね。
合唱では、私が一番年長者で、指揮をしていると若い皆の顔ばかり見ているわけで、帰ってきて鏡で自分の顔を見ると皺だらけでがっかりします。若い顔を見ていると自分もそうだと錯覚をしているのですよね。その代わり自分より年長者ばかりの顔を見てから、自分の顔を見ると、案外若いと自己満足するのです。結局相対的にしか見ることができないのかもしれません。
最近は自分の顔が姉や母に似ていると思うことが増えました。
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momenさん、こんにちは!
ほんと、mchappykunさんのおっしゃるとおり、momenさんはスリムで引き締まったスタイルですばらしいですね。
私は顔はもちろん、身体も引き締めないとどこを見てもブヨブヨしています。もっと食生活にも気を付けて、運動も有酸素運動だけでなくちょっと筋トレ的なこともしないといけないと最近思っています。
母とフェイスタイムをすると 相手の顔を見て私自身にてきたな、って思いますし、娘とフェイスタイムすると昔の自分に似ているなって思います。
ほんと、mchappykunさんのおっしゃるとおり、momenさんはスリムで引き締まったスタイルですばらしいですね。
私は顔はもちろん、身体も引き締めないとどこを見てもブヨブヨしています。もっと食生活にも気を付けて、運動も有酸素運動だけでなくちょっと筋トレ的なこともしないといけないと最近思っています。
母とフェイスタイムをすると 相手の顔を見て私自身にてきたな、って思いますし、娘とフェイスタイムすると昔の自分に似ているなって思います。
もめんさん、すご~く格好いいです!
なかなか上腕鍛えるのも大変で、悪戦苦闘中です。
最近ヘタレ気味なので、いい刺激いただきました!!!
風景の加工とかも色々ありますね。
最近は映り込んだ人ごみも消せてしまうし。
京都にやってきた外国人観光客が、人の多さにびっくり、なんてことも聞きましたね。
現実と乖離していくこういう写真って、技も要らなければチャンスも必要なくて、職業で写真撮ってる人までそんなふうに思われたら、甚だ気の毒だと思うこの頃です。
なかなか上腕鍛えるのも大変で、悪戦苦闘中です。
最近ヘタレ気味なので、いい刺激いただきました!!!
風景の加工とかも色々ありますね。
最近は映り込んだ人ごみも消せてしまうし。
京都にやってきた外国人観光客が、人の多さにびっくり、なんてことも聞きましたね。
現実と乖離していくこういう写真って、技も要らなければチャンスも必要なくて、職業で写真撮ってる人までそんなふうに思われたら、甚だ気の毒だと思うこの頃です。
mchappyさん
ジム通いなど自分には無縁だったころ、カイロプラクターの先生に、あなたの骨の歪みをいくら直しても、骨を支える筋肉が乏しいと叱られました。
上半身は首、肩、胸にもう少し筋肉をつけたいです。
胸骨が浮き出るようになってみっともないのです。
たいがいのところで、周りは自分よりもにょりも若いと感じるようになりました。
若かったころは、自分がいちばん年下かと不安になることはあっても、ひとの年齢を見極めるというか、あのひとは何歳くらいか、というようなことに無頓着でしたから、いまの若い人もそんなふうかもしれません。
自分が年齢を意識しているだけなのかも。
ジム通いなど自分には無縁だったころ、カイロプラクターの先生に、あなたの骨の歪みをいくら直しても、骨を支える筋肉が乏しいと叱られました。
上半身は首、肩、胸にもう少し筋肉をつけたいです。
胸骨が浮き出るようになってみっともないのです。
たいがいのところで、周りは自分よりもにょりも若いと感じるようになりました。
若かったころは、自分がいちばん年下かと不安になることはあっても、ひとの年齢を見極めるというか、あのひとは何歳くらいか、というようなことに無頓着でしたから、いまの若い人もそんなふうかもしれません。
自分が年齢を意識しているだけなのかも。
Ziggyさん
ある程度の筋肉トレーニングは、骨の強化にも、欠かせないのですよ。
台所仕事をしていても、鍋を感じるようになったので、妙な持ち方をしたら手首を痛めそうな不安もあります。
わたしは心臓が弱いので、有酸素運動も心臓という筋肉強化のつもりでもいます。
ジムへ通うのは、精神が曇っているときの対策でもあります。
抗鬱剤を服用したころ、その副作用にまいりました。
ある程度の筋肉トレーニングは、骨の強化にも、欠かせないのですよ。
台所仕事をしていても、鍋を感じるようになったので、妙な持ち方をしたら手首を痛めそうな不安もあります。
わたしは心臓が弱いので、有酸素運動も心臓という筋肉強化のつもりでもいます。
ジムへ通うのは、精神が曇っているときの対策でもあります。
抗鬱剤を服用したころ、その副作用にまいりました。
sunandshadowsさん
お腹はいちばん最後まで残る贅肉のようですが、一度取れたら案外それが保てるようですよ。
こどもの写真を加工するの、抵抗がありますよね。
こどもの誕生日や卒業祝いに美容整形をさせる親の話も聞きます。
写真加工したひと実際に対面すると全く別人というのも恥ずかしいと思うんですけど。
お腹はいちばん最後まで残る贅肉のようですが、一度取れたら案外それが保てるようですよ。
こどもの写真を加工するの、抵抗がありますよね。
こどもの誕生日や卒業祝いに美容整形をさせる親の話も聞きます。
写真加工したひと実際に対面すると全く別人というのも恥ずかしいと思うんですけど。
ななみんさん
一日おきでも継続すれば、結果はでます。
こどものころからまったく運動しなかったわたしでも、それなりの結果があるのですから。
わたしは出不精だし、ひととのつきあいにも消極的だし、用事がなければ、犬の散歩以外には家に閉じこもっていて平気という性質なので、ジム通いするというだけでも外に出て顔なじみのひとと挨拶を交わすだけで、精神と肉体の健康を保っていることを実感しています。
写真の加工、おもしろいのもあるんですよね。
興味はあります。
京都で芸子さんらを無作法に撮影するという話も聞きました。
距離を置いて尊重するマナーが欲しいですね。
一日おきでも継続すれば、結果はでます。
こどものころからまったく運動しなかったわたしでも、それなりの結果があるのですから。
わたしは出不精だし、ひととのつきあいにも消極的だし、用事がなければ、犬の散歩以外には家に閉じこもっていて平気という性質なので、ジム通いするというだけでも外に出て顔なじみのひとと挨拶を交わすだけで、精神と肉体の健康を保っていることを実感しています。
写真の加工、おもしろいのもあるんですよね。
興味はあります。
京都で芸子さんらを無作法に撮影するという話も聞きました。
距離を置いて尊重するマナーが欲しいですね。


