2024年 08月 27日
誕生日 |
あきらは21歳になる誕生日の午前0時きっかりにクラブに行くんだと息巻いていたけれど、早くからアパートに30人ものともだちがやってきてパーティーしていて、その時刻になったときには酔っぱらってそのまま行かなかった。
朝の5時までお開きにならなかったそうで、飲みすぎたのは自認しても21歳の誕生日にふさわしく楽しかったらしい。
隣人から苦情がでたのではないかと心配したが、あきらもそうならなかったことが意外らしかった。
30人なんてずいぶん散らかっただろうとお節介を言ったら、そうでもないけど、みんなが自分のトイレを使って汚れるのが嫌だとあたりまえのことをぼやくのがおかしい。
あきらが住んでいるアパートは、二階式の4つ寝室のあるユニットで、それぞれにバスルームがついていて、もともと学生相手にデザインされている。
共有するのは台所、居間、バルコニーという、贅沢な間取りである。
昨夜はあきらの誕生日のパーティーだったから、自分のバスルームを客に使わせざるをえなかったのだ。
酔っぱらった二十歳前後の男女30人が7-8時間集まれば、ナイトクラブの化粧室のような状態になるのは想像できる。
こういう宴会はうちから離れたところでしてもらうに限る。
思い返せば、あきらには神経質なところがある。
こどもの頃から家以外の化粧室の清潔度を疑って、できるだけ外では避けていた。
だから帰宅すると、真っ先にトイレに向かう。
学校から帰ってきてもそうだった。
いまもそうらしいから、ひとが自分のを使うのに抵抗があるのだ。
実はわたしにもいくらかそういうところがある。
旅行に行くと調子を崩すのは、それではないかと思うほどだ。
みあは教会のあと、ルームメイトのケイトリンとやってきた。
手打ちうどんのベーコン焼き、芽キャベツのロースト、サラダ、苺のショートケーキをリクエストされた。
そんなのでいいの、と訊き返したら、大好物のうどんのベーコン焼きをケイトリンに食べさせたいから、と慎ましいものである。
前日にうどんをこねて茹で、当日はベーコンと玉葱をじっくりこんがり炒めたのにうどんを加えて、さらによく炒める。
焼き目がでるほど、かりっと型焼きそばみたいになる部分がそこここにあるのが好きなのだ。
最後にちょっと醤油を焦がす。
芽キャベツは半分に切ったのに、大蒜、アヴォカドオイル、海塩、黒コショウの粗びきを絡めたのをじっくり高温のオーヴンで焼いたのに、たっぷりのペストを絡めてさらに10分焼く。
ペストは先日たくさんのバジルを買ったときに作って冷凍しておいた。
サラダはいつもの。
苺のショートケーキは台を前日に焼いて、型から出さずに皿の上にひっくり返して冷ましておいた。
当日の朝、苺ジャムにキルシュを加えて加熱したのをスポンジに含ませ、泡たてた生クリームと苺をはさんで、さらに上にも飾り、残ったジャムをちょっと塗る。
切り分けるまでに2-3時間は冷蔵庫で休ませるほうがケーキとクリームが馴染むし、切り分けやすい。
苺を輪切りにし、真ん中のスライスと、両端のを分けておき、真ん中のきれいな輪を上の飾りに使う。
こうやってずらりと並べる方法は、山本麗子さんの著書から習った。
きれいなうえに、切りやすく食べやすくもある。
山本さんの本では、整然と苺が並んでいて、いま自分のケーキの写真を見たら、ただ雑然と乗っかているみたいだが、一応外側からぐるりとると円を描きながら並べたのにこうなったのは、あとで下のクリームが見えるところに苺の輪切りを差し込んでいったせいだ。
こうところでプロは違う、と思い知らされるけど、そうではないひともプロ顔負けにセンスよく仕上げるひとがたくさんおられる。
ケイトリンは22歳で、いまだ酔っぱらったことがないそうだ。
厳しいキリスト教信者の家で育ったのとはまた別に、アイオワ州の実家から離れてここに住むようになっても、飲酒の経験はあるけれど、酔うほどに呑んでみたいと思ったことがないと言う。
こういう若者もいる。
あきらは高校の終わりの頃から、そういう”冒険”に興味があった。
ひとりでも呑みたいというふうではなくて、パーティーという設定に惹かれていたのだと思う。
みあは、というと、数年前、勤めていたところでは大人の中でみあが紅一点若く可愛がられて仕事がらみであちこち華やかなところへ連れ出され、勧められるままにボディガードつきでかなり呑んだ時期があった。
一時は、今週はアルコール抜きたい、というくらい吞んでいたせいか、飲酒についてもそういう場所や社交にもいまは興味を失っている。
ケイトリンは花に例えると向日葵みたいで、素顔で気取らなくて底抜けに明るい。
食事のあとカードゲームをしたら、彼女も負けず嫌いでほとんどムキになって遊ぶのでたいそうおもしろかった。
ヴァレンティノのコロンを、あきらはひどく気に入っている。
奮発してよかった。
by ymomen
| 2024-08-27 02:08
| 家族
|
Trackback
|
Comments(0)




