2024年 05月 28日
座る日本の女 |
誰かの刺した刺繍。
裏を返せば、あきらかに手仕事。
白いクロスの四辺に紺の色で座った日本の女の後姿を描いている。
その姿が美しくて4ドルをセールで半値になっているのを買った。
竹久夢二を思わせる。
手に持っているのは盃で、お膳が目の前にあって、寛いだ座り方なのが、なんだか微笑ましい。
背中がくつくつ笑っているのか、ほうーっと溜息を漏らしているのか。
長い簪だからふつうの家の女ではないのだろうか。
こういうものは日本人が自分の家のために刺す刺繍ではなかろう。
かと言って、東洋趣味の外国人が選ぶ絵柄でもないと思う。
日本人であるからこそ、いかにも土産級の日本ものは気恥ずかしくて、冗談みたいで、使えない。
”侍”とか”魂”とかいう筆文字をプリントしたTシャツを嬉しそうにこちらにひとが着ているのに遭遇する照れに似ている。
こういうものを見つけるスリフトストアの一角には、土産向けの”ゲイシャ”人形やきんきらきんの飾り扇子など、鼻が欠けて薄汚れた人形などと雑多に並べられていて、同じ国からやってきたわたしは、そういうものに出会うとやり切れない思いがする。
帰国して、こちらに戻る前に空港に並べられた日本土産の陳列から、目をそらせるようになった。
スリフトストアでは、必ずヴィンテージのテーブルリネンを探す。
カードテーブルを覆えるほどの大きさで、上質重厚な木綿。
こういうクロスはもうなかなか見ない。
まったく綻びはない。
半分に切り断面を繕ってティ―タオルとして使うにすれば刺繍を痛めそうだし、どういうふうに使おうかと迷っている。
by ymomen
| 2024-05-28 00:51
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