2024年 05月 15日
Mary Jane |
メリー・ジェインとはジムで知り合った。
目礼から始まって、数か月してちょっと口角を上げる程度の微笑みがあるときもある程度で、話をするようになったのは、3年前。
昼ご飯に会うのは数か月ごと。
ジムで会えば話すが、電話をかけあって喋るでもない。
彼女とご主人は新居を建てた。
バスルームのタオルも、グラス(水を飲む)も新しいのを買いそろえたと、まるで新婚のような華やぎぶりだ。
化粧気もなく、マニキュアもしないで、慎ましく実直そのものの彼女がそう上気しているのを見ていると、こちらまでうれしくなる。
弁護士のご主人との間にはこどもがおらず、この家こそ自分たちの理想の家だと設計も好みのままに建てている。
野球が大好きで、これからはもっとロッキーズを観戦しに通いたいからとデンバー近郊に移転した。
新居にずっと住むというつもりもなくて、いずれはまた静かなところに移って、そこで晩年を暮らす、というから、そんな計画を立てるなんて精神的にも肉体的にもかなりのエネルギーがあると感心する。
わたしと違って、先のことを綿密に計画して、着々と実行するひとで、そういうタイプのひとがわたしの周りに多いのは、ますます自分を慌てさせることになる。
わたしのまわりには、山にヴァケーションの家を建てているとか、こどもが巣立ったから大きな家を売り払ってタウンホームに引っ越したとかいうひとがちらほらいる。
みな転換期にいるのだ。
別荘を、というひともいるが、家を二つ管理するなんていうのも大仕事で、とてもわたしにはできないことだ。
また、このごろはスクワッターズ(squatters)と称される、空き家に潜入してそこに我が家同然に居座るというひとがいて、そういうひとたちを立ち退かせる法が複雑らしく、家一軒持っていても留守をすると不安があるのに、もう一軒家を持つなどとても器量にかなわない。
一方で、メリー・ジェインのこどものころの話におもしろいことがあった。
山深いところにキャビンを持っていて、夏になると家族でまとまった日数をそこで過ごした。
質素な山小屋だったが、そこに行くのが何よりたのしみだったそうだ。
ディズニーワールドやよその都市へ行くなんていう休暇は思いつきもしなかった。
食料をたくさん持ち込んで、森のなかを走り回ったり、湖で泳いだり、雨が降ればゲームをした。
いよいよ小屋を後にするとき、頑丈な戸締りをしないで、ひと一人が1週間くらいは空腹をしのげるほどの缶詰めやクラッカーなどの食糧を仕舞っておくのは、真冬に雪の中で遭難したひとのためなのだそうだ。
暖炉にくべる薪も用意しておいた。
キャビンを荒らされる心配はないの、と訊いたら、だってそのあたりには何にもないのだから、命を助けてあげて家を荒らすひとなんていないでしょう、と応えるのに、彼女のこども時代のアメリカに住んでみたかったとつくづく思った。
まるで童話みたいだ。
メリー・ジェインなんていう名前さえも絵本にふさわしい。
ああ、そうだ、1年に一度、デンバーに住む伯父さんのところに行くのが大イヴェントだった、と加えた。
10人きょうだいで、歯医者の伯父さんにみんなの虫歯を治療してもらいに行ったのだった。
**
昨夜アヴァランチはホームゲームで負けた。
がっかり。
今夜はナゲッツ。
by ymomen
| 2024-05-15 00:47
| ともだち
|
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Comments(5)
素敵なお話です。
こういうお話聞くの大好きです。
大好きな「農場の少年」をなんとなく思い出しました。
お姉さんの名前はイライザジェーンだったなとか。昔はいていたクロックスはメリージェーンだったわ。なんてつらつら思い出しました
こういうお話聞くの大好きです。
大好きな「農場の少年」をなんとなく思い出しました。
お姉さんの名前はイライザジェーンだったなとか。昔はいていたクロックスはメリージェーンだったわ。なんてつらつら思い出しました
2
最初の題名のMary Janeを見た時、本の主人公の名前かと思いました。
私も一軒でも大変なのに、これ以上家を管理することはできません。でも、人によってはなんの苦もなく(と私には見えます)何軒も家を持っている人がいて、(私のご近所さんがかつては11軒も貸家をしていました)すごいな、と思ってみています。
最近では空き家にしているとホームレスが入り込んで出ていかず、大変だとききました。
昔はそんなこともなく鷹揚だったのですね。
私も一軒でも大変なのに、これ以上家を管理することはできません。でも、人によってはなんの苦もなく(と私には見えます)何軒も家を持っている人がいて、(私のご近所さんがかつては11軒も貸家をしていました)すごいな、と思ってみています。
最近では空き家にしているとホームレスが入り込んで出ていかず、大変だとききました。
昔はそんなこともなく鷹揚だったのですね。
akitaさん
あらあら。。。。
アルマンゾの食べたドーナッツを作ろうかなあ、とこの数日迷っていたところに、”農場の少年”とは 笑。
ふたつの名前をくっつけてひとつの名前にしているのは、昨今あまり耳にしません。
古風で好きです。
イライザジェーンは先生でしたね。
わたしもクロックスのメリージェーン持ってますよ。
ベージュです。
いまも持っています。
あらあら。。。。
アルマンゾの食べたドーナッツを作ろうかなあ、とこの数日迷っていたところに、”農場の少年”とは 笑。
ふたつの名前をくっつけてひとつの名前にしているのは、昨今あまり耳にしません。
古風で好きです。
イライザジェーンは先生でしたね。
わたしもクロックスのメリージェーン持ってますよ。
ベージュです。
いまも持っています。
Mchappyさん
同感です。
管理と護衛の良いアパートメントなどに住むのが留守をしてもいちばん安全なような気がします。
身辺整理して、そういう暮らしが気軽ではないかと思うけれど、夫は一軒家がいいのです。
住処がふたつになってあっちこっちに移動するのは嫌です。
同感です。
管理と護衛の良いアパートメントなどに住むのが留守をしてもいちばん安全なような気がします。
身辺整理して、そういう暮らしが気軽ではないかと思うけれど、夫は一軒家がいいのです。
住処がふたつになってあっちこっちに移動するのは嫌です。


