2023年 12月 10日
グレープリーブス |
夫の一族、すなはち、グレープリーブス。
スタッフトグレープリーブス。
葡萄の葉の肉詰め。
夫の親族の間では、単にグレープリーブスと呼ぶ。
夫の誕生日に作った。
夫の祖父母は、シリアはダマスカスからの移民。
夫はアメリカ国民三世。
祖父母に縁のある親族は、かなりの人数で、祖母側のみの親族会が隔年ごとにミシガン州で行われるのに、500人ほどが出席する。
広大な公園を借り切って、一日ピクニック形式のイヴェントで、それぞれが自慢のグレープリーブスの大鍋を持参して、互いに味見をする。
わたしたちのように州外から参加する者は、相伴にあずかるのみである。
500人全ての顔も名前も憶えていないが、みなグレープリーブスでつながっている。
家系が遠くなるにつれて、グレープリーブスの味が違う。
それぞれ、親の作るグレープリーブスで育っているから、自分の家のレシピがいちばんだと思っている。
親族が集まれば、必ず作る。
大勢になれば、葉に肉を巻く人数も増える。
夫の両親は30年前に離婚して、義父は義母の話題を避けるほどであっても、グレープリーブスだけは恋しくなるようで、わたしが作るたびに喜んだ。
義父が再婚したひとは、わたしの料理をなんでも快く食べてくれたが、これだけは好まなかったのは、味が舌にあわなかったのか、あるいは、グレープリーブスが前妻の存在そのものというふうにとらえていたのかもしれなかった。
詰めるひき肉は、もともとラムを使っていたそうだが、入手しやすくより安価な牛肉を半分混ぜるようになり、そのうち牛肉のみを使うようになった。
ラムのひき肉があれば、わたしも牛肉と半々にするが、今回は牛肉のみ。
だが、骨付きのラムをなべ底に敷いてからグレープリーブスを並べて、だしの役目にする。
ひき肉に混ぜるのは、米、塩、シリアンスパイス、水。
シリアンスパイスというのは、オールスパイス、シナモン、ナツメグ、クローブ、黒コショウをある比率で合わせたもの。
これらをよく混ぜ合わせて、葡萄の葉で巻く。
葡萄の葉は、瓶入りのもの。
これを水洗いして使う。
家に葡萄の蔦が這っているから、その葉が若いときに摘めばいいのだが、葉が大きいほうが扱いやすいし、すぐに使わなければ冷凍しなくてはならないのを怠っている。
広げた葉のの側に肉を細長く置き、くるくると巻いていく。
煙草の葉巻のように、両端から肉がはみ出さないように閉じて巻く。
ある程度はきっちり巻かないと、加熱の途中でくずれる。
それらを鍋に移すのも、注意して並べていく。
たっぷりの大蒜と、レモンの搾り汁、水を加えたのを蓋をして加熱し、沸騰し始めたら、弱火で葉がすっかり柔らかくなるまで煮る。
わたしはゆっくり3時間ほどかけて煮る。
時間に余裕をもって煮て、もうこれでいい、というところで火を止めて、さあ食べようというときにもう一度弱火で加熱する。
米が水分を吸って、グレープリーブスの嵩が増えるのに応じて水を足すが、水が多くなってもいけない。
煮えたと思う頃、ひとつ取り出して味見をし、葉がまた硬いとか、もうちょっとレモンを足したほうがいい、とか塩気が足りないとか判断しながら、調節する。
わたしの作るグレープリーブスがほかの親族と違うのは、日本種の米を使うところで、長米種を使う場合よりも、詰めた肉の米がねっとりしているから食感がいくらか異なる。
ふつうこれに添えるのは、タブリというパセリのサラダ、ハマス、ピタ、ストリングチーズ、ヨーグルトソース。
タブリも、大量のパセリから葉を摘む作業は手間がかかるわりには、夫が好まない。
ハマスも欲しがらない。
わたしは好きだが、パンをほとんど食べないので、これも作らず。
今回はロメインレタスのサラダ、ストリングチーズ、ナン。
この町には、中東の食料品店がなく、おいしいピタが買えないから、ナンで代用。
ストリングチーズは生のモッツアレラチーズを熱したのにブラックキャラウエイシードと、マハラブという杏の種の核を粉にしたものを混ぜて、チーズが熱いうちに何度も引き延ばして飴細工のようにしたのを縄状にくくって塩水にしばらく漬けて引き上げる。
食べるときに縄をほどいて、細かく裂くが、裂くうちにあちこちから手が伸びて、どんどんなくなっていくのだ。
これも裂く作業が手間である。
細かく裂けば裂くほど、おいしい。
夫の誕生日は、みあと三人だったから、巻いたグレープリーブスの半分を冷凍して、半分だけを煮ようと思ったが、全部煮れば数日楽しみに食べると夫が言うから、全部調理した。
by ymomen
| 2023-12-10 00:58
| 食
|
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Comments(6)
Momenさん、こんにちは。
ご主人のお誕生日おめでとうございます。
グレープリーブス、一度食べてみたいです。
それにしても ご親戚がそんなにいらっしゃるとは驚きです。集まる時には大イベントですね。 このお料理が皆さんにとっての故郷の味という事になるのかな?
Momenさんがこうやって 嫁いだご主人の大切なお料理を覚えて作ってらっしゃるのってすばらしいと思います。
葡萄の葉って お店で購入できるのかと考えていたら、瓶入りで売っているんですね。
ご主人のお誕生日おめでとうございます。
グレープリーブス、一度食べてみたいです。
それにしても ご親戚がそんなにいらっしゃるとは驚きです。集まる時には大イベントですね。 このお料理が皆さんにとっての故郷の味という事になるのかな?
Momenさんがこうやって 嫁いだご主人の大切なお料理を覚えて作ってらっしゃるのってすばらしいと思います。
葡萄の葉って お店で購入できるのかと考えていたら、瓶入りで売っているんですね。
3
ziggyさん
ありがとうございます。
親戚の集まりにもいろいろあって、これほど大規模なのと、義母きょうだいとそのこどもたちだけに限られるのと。
義父方はノルウエイからの移民で、うんと小規模です。
どこの食べものにも興味がありますが、アラブの料理はまた一種独特で魅力があります。
義母は10人きょうだいで、叔父たちもみな料理をするし、食べることが大好きなので、総じて太っています 笑
集まると、食べるか、料理をしているか、バックギャモンをしているか、談義をしているか。
アラブの食品店で葡萄の葉を買います。
そこで売っているラムは彼らなりの”とさつ”方法で肉になり、鮮度が最高であれば、加熱しないでいただくレシピにも使えるほどです。
ここに寄るとほかに買うのは、グレープシードオイル。
大瓶入りで安価です。
胡麻菓子のハルバは、無加糖を。
焼きたてのおいしいピタも。
そういう店がわたしの住む街にはないので、デンバーに出たときに寄ります。
ありがとうございます。
親戚の集まりにもいろいろあって、これほど大規模なのと、義母きょうだいとそのこどもたちだけに限られるのと。
義父方はノルウエイからの移民で、うんと小規模です。
どこの食べものにも興味がありますが、アラブの料理はまた一種独特で魅力があります。
義母は10人きょうだいで、叔父たちもみな料理をするし、食べることが大好きなので、総じて太っています 笑
集まると、食べるか、料理をしているか、バックギャモンをしているか、談義をしているか。
アラブの食品店で葡萄の葉を買います。
そこで売っているラムは彼らなりの”とさつ”方法で肉になり、鮮度が最高であれば、加熱しないでいただくレシピにも使えるほどです。
ここに寄るとほかに買うのは、グレープシードオイル。
大瓶入りで安価です。
胡麻菓子のハルバは、無加糖を。
焼きたてのおいしいピタも。
そういう店がわたしの住む街にはないので、デンバーに出たときに寄ります。
このスタッフトグレープリーブス、なかなか手の込んだ料理ですね。一度どこか中東料理店で食べてみたいものです。
中東料理といえば、大好きなクスクスがありますが、皆さん食べられないのでしょうか。
中東料理といえば、大好きなクスクスがありますが、皆さん食べられないのでしょうか。
オイカワさん
デンバーには中東料理のレストランがいくつもあるようです。
わたしが行ったのはもうかなり前で、残念ながら名前も覚えていません。
ハマスやカバブ、ピタなどがおいしくても、わたしたちがうなるほどのグレープリーブスにはいまだ外ではいただいていません。うちで作るのほどにはおいしいと感じないのは、驕っているのではなくて、単に主観的な好みでしょう。
でも友達のカレンはレバノン出身の家で育ちましたが、わたしのグレープリーブズがいちばんおいしいと褒めてくれました。
でも彼女はのちにヴェジタリアンになり、肉のかわりにひよこ豆をつぶしたのを詰めるグレープリーブスを作るようになりました。
デンバーには中東料理のレストランがいくつもあるようです。
わたしが行ったのはもうかなり前で、残念ながら名前も覚えていません。
ハマスやカバブ、ピタなどがおいしくても、わたしたちがうなるほどのグレープリーブスにはいまだ外ではいただいていません。うちで作るのほどにはおいしいと感じないのは、驕っているのではなくて、単に主観的な好みでしょう。
でも友達のカレンはレバノン出身の家で育ちましたが、わたしのグレープリーブズがいちばんおいしいと褒めてくれました。
でも彼女はのちにヴェジタリアンになり、肉のかわりにひよこ豆をつぶしたのを詰めるグレープリーブスを作るようになりました。
'98にシリア・ヨルダンに行きましたが、珍しく食事の写真が
ありませんでした。ヨルダンは観光客が長期滞在してくれるよう
料理人をエジプト同様に世界に修行に出していました。
大嫌いだったサーモンのパスタ、青椒肉絲が美味しかったのです。
葡萄の葉包みはトルコ料理だと思っていました。隣接しているから
当然ありますね。
お土産に葡萄の葉の瓶詰めをもらい、作りましたが親指サイズの
不細工なものになりました。コツを伝授して欲しいです。
バーミャ・ビル・ラッハマ&アー・アル・アルーズのレシピが
なぜかあります。シリア料理教えてください。
ありませんでした。ヨルダンは観光客が長期滞在してくれるよう
料理人をエジプト同様に世界に修行に出していました。
大嫌いだったサーモンのパスタ、青椒肉絲が美味しかったのです。
葡萄の葉包みはトルコ料理だと思っていました。隣接しているから
当然ありますね。
お土産に葡萄の葉の瓶詰めをもらい、作りましたが親指サイズの
不細工なものになりました。コツを伝授して欲しいです。
バーミャ・ビル・ラッハマ&アー・アル・アルーズのレシピが
なぜかあります。シリア料理教えてください。
ソーニアさん
良い時にいらっしゃいました。
わたしはどちらにも行ったことがなくて、ぜひぜひ行きたいですが、シリアは無念ながら、戦争でずいぶん荒らされたと聞きます。今の情勢では中東圏内へ旅行するのはどうなのでしょう。
葡萄の葉の肉詰めを巻くには、まず葉がある程度大きいのがいいです。
それを皿に葉の裏側を上に広げ、肉餡を細長くソーセージ状に、形を整えてからしっかりと巻きます。葉巻のように。
鍋に入れるときも、形が崩れないように整列させながら並べ、加熱時もあんまりぐつぐつ盛大に加熱するとグレープリーブズが崩れます。
最後に挙げられたふたつの料理、恥ずかしながら知りません。
義母の一族が頻繁に作るのは、ほかにはカバブ、タブリ、ハマス、キビ、キビ・ネヤ、バクラヴァ、くらいのものですが、また作るときにはご紹介しますね。
良い時にいらっしゃいました。
わたしはどちらにも行ったことがなくて、ぜひぜひ行きたいですが、シリアは無念ながら、戦争でずいぶん荒らされたと聞きます。今の情勢では中東圏内へ旅行するのはどうなのでしょう。
葡萄の葉の肉詰めを巻くには、まず葉がある程度大きいのがいいです。
それを皿に葉の裏側を上に広げ、肉餡を細長くソーセージ状に、形を整えてからしっかりと巻きます。葉巻のように。
鍋に入れるときも、形が崩れないように整列させながら並べ、加熱時もあんまりぐつぐつ盛大に加熱するとグレープリーブズが崩れます。
最後に挙げられたふたつの料理、恥ずかしながら知りません。
義母の一族が頻繁に作るのは、ほかにはカバブ、タブリ、ハマス、キビ、キビ・ネヤ、バクラヴァ、くらいのものですが、また作るときにはご紹介しますね。










