2023年 08月 15日
ブラックベリー |
ブラックベリーが熟してきた。
緑色の硬い実がたくさんついたのが、数週間前。
だんだん赤くなって、ぽつぽつと深いボルドー色になって、ひとつふたつと摘んでは食べた。
灼熱の太陽のもとで熟れた実はふっくらと柔らかく、温かく、甘い。
舌にのせて、上あごに押しつけるだけでその甘酸っぱい実は、弾ける。
目をつぶっていても、その甘さは確かに赤い実だとわかる独特の甘さ。
わずかな渋みがあるからだろうか。
数日前から小さな籠を持って収穫できるほどになった。
昨夕、熟れたものは採りつくしたはずなのに、今朝になるとまた籠一杯採れた。
摘むとすぐに洗ってたちまち食べてしまっていたけれど、それでは追いつかなくなりそうだ。
すっかり熟れた実は柔らかく、そっと摘まないと指の間でつぶれる。
色づいていても、枝からすっと外れないものは、”もうちょっと待って”、ということだろうから、無理に摘まない。
白い洋服を着ていると、その美しいむらさきの果汁が思いがけずどこかを染めることになる。
もたもたしていると、蚊やぶよに刺されるから、手早く摘んでいるつもりでも、全く刺されないということはない。
あたふたと家に入って、洗える箇所は洗い、ムヒをつけてムヒパッチを貼る。
いちばん威勢のいい株は、空調設備のある家の横の砂利から生えている。
ファンが唸る隣で育っている。
もともとそこに植えるつもりはなかった。
玄関前の花壇にするべきところに植えたのが、どういうわけなのか、そんなところに出現してそのままにしておいたのが、どんどん大きくなったのだ。
ブラックベリーの枝はタコの足みたいにあらゆる方向に延びる。
それがどんどん固くなるから、身をかがめて摘もうとすると、麦わら帽子やシャツが蔦に引っかかる。
肌があらわになっていると、あとでひっかき傷に気がつくこともある。
ひとさまのブログで、それぞれの地に育つ果実を眺めては、その美しさに見とれて、実が生る前にはどんな花が咲いて、どんな手触り、薫り、味、歯ごたえがするのだろうかと想像する。
いいなあ、嗅いでみたい、食べてみたい、と思う。
でも、わたしには自宅の脇で勝手に生えてきたブラックベリーがある。
こんな厳しい気候に耐えて、放ったらかしにされているのに、実をつけてくれている。
こどものころには、こんな実があることも知らなかった。
春先に父と、岡城址の裏手の山道に野いちごを摘みに行ったものだった。
あのころのわたしに掌一杯のブラックベリーをあげたら、大喜びするに違いない。
父もブラックベリーを知らなかったと思う。
知らないまま昇天した。
父は自分のことを”むかし人間”と自嘲していても、新しいものや珍しいものが好きだったから、この美しい実を好むと思う。
野に生るものを摘んで食べるのが好きなひとだった。
by ymomen
| 2023-08-15 02:28
| ガーデニング
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