2023年 05月 17日
The piano/ The promise |
Alexander McQueen
1969-2010
彼が存命のころ、ニュースで観る彼のコレクションには全く関心がなかった。
暴力、猥褻、無法、自虐、退廃、という形容詞ばかりが伴う作品ばかりで、子育ての真っ最中だったわたしには、最も遠ざかっていたいものだった。
近年、Alexander McQueenのドキュメンタリー番組を観た。
生い立ち、デザイナーとして成功する経過。
ひととしての迷いや葛藤。
あるコレクションに向けて制作しているあいだ、スタジオでひたすら聴いていたのが、映画”The Piano”のサウンド・トラックだと知る。
デザイナーという華やかな肩書を持っても、創造する経過は孤独だ。
映画”The Piano"(1993)は美しいが、哀しい。
わたしもまた、このCDを飽きることなく、来る日も来る日もこればかり聴いていた時期がある。
わたしのなかにほどけない鎖のようなものがあった。
このCDは果たしてその鎖をほどいてはくれなかったが、慰めてくれていた。
彼もまたこのピアノに慰められていたのだろうか。
同じ時期、ある友人が他界した。
彼女の顛末はMcQueenへの印象にも近い哀れなもので、日々幼いこどもと向き合う母としてのわたしには、同情よりも目を背けていたい思いのほうが大きくて、正面から向き合って弔うのをあとまわしにしていた。
羽を大きく広げて雛を庇う親鳥が、外界に背を向けるように。
McQueenのフィルムを観ながら、彼女のことを想った。
彼女を慰めたのは何だったのか。
いまになって彼女を弔う。
by ymomen
| 2023-05-17 01:28
| 音楽
|
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Comments(4)
Amazonプライムで見掛けたので、今度観てみようと思ってた映画です。
前に見た時はあまりよくわからなかったような、、そう、哀しい感じがしてあまり観たくなかったのかも。
もう一度今観てみると違うのかなと思っていたところです。
前に見た時はあまりよくわからなかったような、、そう、哀しい感じがしてあまり観たくなかったのかも。
もう一度今観てみると違うのかなと思っていたところです。
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> daikatotiさん
ひととして敬いはしないし、彼のドレスを着たいとも思わないけど、彼のコスチュームの作成は、どこかこどもの工作じみたところがあっておもしろいのです。
母親や叔母とのつきあい方もまた特殊です。
ひととして敬いはしないし、彼のドレスを着たいとも思わないけど、彼のコスチュームの作成は、どこかこどもの工作じみたところがあっておもしろいのです。
母親や叔母とのつきあい方もまた特殊です。
アレキサンダー・マックィーンは名前だけは知っていました。
日本のタイトルはピアノレッスンでした。
映画も見たし、CDも持っています。
カンヌ映画祭でパルムドール、アカデミー賞では主演女優賞やら
いくつか受賞しましたね。それだけ誰もが心に残る作品でした。
言葉を使わず、感情をピアノで表現する主人公と原住民の男との
ラブストーリーにあー良かったと安堵したモノです。
日本のタイトルはピアノレッスンでした。
映画も見たし、CDも持っています。
カンヌ映画祭でパルムドール、アカデミー賞では主演女優賞やら
いくつか受賞しましたね。それだけ誰もが心に残る作品でした。
言葉を使わず、感情をピアノで表現する主人公と原住民の男との
ラブストーリーにあー良かったと安堵したモノです。


