2023年 05月 14日
Finch /Humans are full of contradictions |
Tom Hanks主演
”Finch”
2021年
スクリーンのなかのトム・ハンクスは危機にいるのに、観ているわたしを落ち着かせてくれるとはどういうことか。
彼の映画はどれもそういうところがある。
独り芝居が上手い俳優だ。
Cast away
Terminal
Forest Gump
Saving Private Ryan
Greyhound
どの作品でも誰かとの葛藤というのではなく、己との戦いをしている。
地球滅亡後、どれだけが生き残っているひとがいるかわからない。
たとえ生存者がいても彼らに襲われる可能性もある。
過酷な環境で、どう生き残るか、どう人生を閉じるかという物語.
相棒は愛犬と自作のロボット。
自分の余年を察知したFinchは、愛犬を独りにさせない目的でロボットを製作し、自らをJeffと命名した彼は、ひとの心と知識を学習する。
Finchは自分の経験をもとに可能な限りを伝授するが、Jeffに合理性は理解できても、ひとがつねに持つ矛盾はわからない。
一生懸命わかろうとするけど、わからない。
例えば”Trust”
信頼とはどういうことか。
ひとが一生かけてわかるものを、Jeffに説明して即理解せよとは無理難題。
ひとは生きて、経験して、失敗したり、躓いたりして、習得していく。
Jeffは、ときにはFinchが癇癪を起したり怒鳴ったりするのにしょげるけれど、あきらめない。
なんとかFinchを助けたいし、犬のGoodyearにも好かれたいと考える。
機能し始めた瞬間から、どこかにんげんくさいところがある。
観ているうちに、こんなひとを知っていると気がついた。
夫のもとで働く建築デザイナーのボビー。
すばらしく賢いひとだけど、どうも浮世の仕組みがわからない。
気に入られたいひとのまわりでは、努力をすればするほど失敗をしてどうすればいいのかわからない。
わたしよりいくらか年上のおとなだけど、純心といっていいほど中身は少年である。
このごろのわたしとってA.Iというと、人間が作ったものなのにすでにひとを見下しているようで、賢くても冷酷なイメージだ。しっかり見張ってないと、騙されそうな存在という気もする。
ポストカードのゴールデンゲイトブリッジを目指して旅をする。
Jeffは頭脳明晰で、その橋の構造も大きさも姿も知っている。
でもそこに実際に行って、欄干やケーブルを渡る風の音を聞いたり、日差しの作る橋の影や、アーチを見て初めて経験したと言えるのだ、とFinchが諭す。
もしわたしがFinchだったらどうするだろう。
ブログを書くのも止めるだろうか。
誰も読んでくれるひとのないブログを書き続けるだろうか。
わたしもまた、人づての情報を読んで聞いて、わかったつもりでいないか。
ひとは誰も一応それぞれ信条をたてて生きている。
そのつもりでも、状況によって、それにそぐわないことを言ったりしたりするものである。
そういう矛盾は誰にでもある。
理由づけと感情が折り合わないときにありがちだ。
欠点でもあるけれど、それは良心や愛情のせいで起きることもある。
Humans are full of contradictions.
ひとは矛盾だらけだ。
人類はそのせいで、もめ事も起こすが、ひとがひとである美点でもあると思う。
矛盾をかかえて、ああでもない、こうでもない、と模索しながら生きるのが人間らしい生き方なのではないか。
by ymomen
| 2023-05-14 01:05
| 映画・テレビ
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