2023年 03月 18日
ふたつの Feminite du Bois /Serge Lutens |
1992年に資生堂から、セルジュ・ルタン・コレクションとして発売された、Feminite du Bois.
調合士は、Pierre Bourdon とChristopher Sheldrake.
その後、2000年にルタンが独自のフレグランスのブランドを立ち上げ、2009年に発売したFeminite du Boisは、過去に関わった同じ名前の香水とは姉妹のようである。
これを創作した調合士は、オリジナルを手掛けたうちのひとり、Christopher Sheldrake.
資生堂のFeminite du Boisに出会ったのは、両親がわたしに会いに渡米したときにJALの機内販売で買ってくれたものだった。
母が選んだその小瓶はサンプルかのような大きさだがParfumなので、eau de toilette やeau de parfumよりもうんと凝縮したもので、ほんの少し指先にとり耳の裏とか膝の裏にうつしてじゅうぶん薫る。
オー・デ・トワレ(eau de toilette)、オー・デ・パーヒューム( eau de perfum)、パルファン( parfum)、それぞれにパヒューム・オイルの含有量が違う。上記の順では、それぞれ10%、15-8%、そしてParfumには25%以上のパヒューム・オイルが含まれているので、当然それぞれを身につけて香りが早く飛んでしまうものもあれば、長時間に渡って薫るものもあるということだ。
同じ香水の名前を語っていても、同じ容量でeau de perfumのほうがeau de toiletteよりも値段が張るのはそういう理由だ。
杉の香りに癒されて気に入り、そのうちデンバーの郊外のアウトレット・モールの香水ばかりを売る店で、大瓶を見つけたのだった。
杉を切り倒してまだ内部がわずかに湿っているのを製材する芳香。
木のエッセンシャルオイルは、木には血にあたるものだと誰かが言った。
切り倒された杉の命を弔うように、蜂蜜、プラム、桃、花々がそえられて祈りを捧げているようでもある。
世界に向けて日本のブランドが30年も前に発売されたもので、セルジュ・ルタン・コレクションのひとつであったものは、そのうち生産中止、在庫もなかなか見つからなくなってしまった。
オークションのサイトで見つけると、値段が跳ね上がっている。
ルタンの独特なメイキャップや様式のおもしろさに惹かれて、彼が自ずのブランドを立ててからも目が離せなかった。
モロッコに住み、その土地に影響されているのが彼の香りの好みに表現されている。
熱気を含んだ砂、皮革、色とりどりのスパイス、上質の煙草、甘味の強い果物、木、木からにじみ出る樹脂。
彼の香水のコレクションを眺めていたら、かつての香水と同じ名前のボトルを見つけた。
フォーミュラは変わっても、いま手に入る香水のなかでは、これが資生堂のオリジナルにいちばん近い。
オリジナルのほうはいまも使うけれど、終わらせてしまいたくないから特別なときだけにとっておく。
いま資料を読めば、木を基調にした香水を女性用に調合したのは、業界でこれが初めてだったそうだ。
確かに男性用の香料には、木、樹脂、などの乾いた、辛めのノートが多い。
わたしも男性用のフレグランスで好きなものもあるし、中性的なものにより惹かれる傾向がある。
オリジナルのFeminite du Boisは、ルタンがデザインしたボトルを含めて、この香りこそが日本だと語り、香を焚きしめる平安時代の宮廷を想わせるほどの想像をかきたてた。
2009年になって同名の”高貴な水”を発表したルタンは、モロッコの市場で革細工やぬくもった甘い香りと杉、をイメージしたと読んだ。思いは日本から離れているようである。
ルタンのブランドで発売したFeminite du Boisは、自ブランドの初のユニセックスの香水だというだけ、オリジナルよりもいくらか簡潔化されて、甘さが薄れている。
ノートを比べると似通ってはいるが、全く同じではない。
Feminite du Bois (1992年 資生堂)Eau de Parfum
トップノート:杉、肉桂、蜂蜜、生姜、カーネーション、薔薇
ミドルノート:プラム、丁子、蜜蝋、カルダモン、桃、菫、オレンジの花
ベースノート:杉、肉桂、白檀、安息香、麝香、ヴァニラ
Feminite du Bois (2009年 Serge Luten)Eau Timide/ Perfum
トップノート:ヴァージニア杉、プラム、肉桂、桃
ミドルノート:丁子、菫、カナンガ、薔薇、アフリカオレンジの花
ベースノート:白檀、安息香、麝香、ヴァニラ
日本には、1992年製のFeminite du Boisをお持ちか、またはその存在を忘れてどこかにその瓶を仕舞われている方が多くおられるのではないか。
これはいまや、秘宝である。
by ymomen
| 2023-03-18 03:43
| 香り
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