黒胡桃

初めて見るもの
初めて食べたもの
黒胡桃

義母の家のガレージに山とあり、わけてくれました

彼女の育った、ここから２時間ほど車で南下したところに生える黒胡桃の木に生ったもの
まだそこに住む彼女の姉さんが持ってきてくれたそうです

乾燥させて黒くなってしまったレモンに似ている
中東の食材店で見かけて、どう使うのかなあ、と気になっていたら、サウジ・アラビアのともだちが作ってくれたスープにこれが浮かんでいて、え、こんなふうに使うの、とびっくりしながらそのスープを食べたら、新鮮なレモンとは違う独特の酸味が効いていておいしかった
作ったともだちは、そのレモンまで食べていた

この外の部分を取り去ると、殻が現れるのだけど、粉々に煤のようにとれる果実は、虫下しに効き、また染料としても使えるとか
この過程だけでも、あたりが汚れる作業なので、義母の父はかつて、これらを地面にばらまいておいて、トラックでその上を数回行き来したそうな
殻を割るには、ふつうの胡桃やほかのナッツに使う胡桃割りでは、硬すぎて割れない
かなづちで外で割る
家の中のテーブルでそうすれば、テーブルが壊れるよ、と義母に警告されました
殻を割らなければ、１０年経っても食べられる、と彼女は言う

こんなふうに、食用になる部分をとり出すまでが面倒だし、ただ生るにまかせているものは、さらに中身の実がちょっぴりだから、たいていのひとは欲しがらないらしく、落ちる実はほとんど捨てられてしまうとか
なるほど殻を割っていると、手が真っ黒になってしまう
それもまた楽しい、とわたしは思うのですが・・・

黒胡桃は、ふつうの胡桃よりも味が濃く、野趣がある
毎年義母が欲しがるカレンダーがあり、それを来年のために届けたら、代金を払うと言い張るので、それならばもっと黒胡桃をくださいとねだったら、ほかに黒胡桃をそんなに欲しがるひとはいない、と笑っていました