2008年 11月 03日
石榴 |
Pomegranate.
ポマグラネト。
ざくろ。
石榴。
こどものころは、ざくろというと、近所の誰かの庭に木があって、秋になればどなたかからいただいたものでした。
ぱっくり裂けている朱色の皮の間からのぞく、ルビー色の粒々。
そうおいしいものとは思わなかったけれど、その姿に魅了されたものです。
庭に生えているざくろの木ですから、実も小さかったでしょう。
こちらでもいまの季節、ざくろが出回ります。
アメリカの一般家庭でふだんにいただく果物は、バナナ、りんご、オレンジ、ぶどうが主流で、ざくろは贅沢でエキゾチックなものという位置にあるようです。
ざくろを食べたことがないというアメリカ人もいるほどです。
みあが産まれてすぐに、ニューヨーク州に住む叔母一家を訪ねました。
みあはまだ生後3ヶ月。
次女のイロナは当時まだ中学生。
同居していて寝たきりだった祖母の世話もしていて、感心したものでした。
わたしたちにとって、この旅いちばんの目的は、余生少ないというこの祖母に会うこと。
それから間もなく昇天しました。
さて、
滞在中にイロナが成績表をもらって帰ってきて、叔母が用意していた褒美は、ひとつのざくろ。
感謝祭のころでした。
ざくろを手にして、大喜びしていたイロナがなんと純粋で美しい少女に思えたことか。
こんな価値観を、みあにも持ってほしいと思ったできごとでした。
輝石の好きなみあらしく、ざくろはみあの気に入りの果物で、この季節になると、もうざくろがお店にでているのではないかとわたしに聞きます。
ざくろは高いから、今年は買わないかもしれない、と言ったものの、出先で大きな輝くばかりの実の箱詰めを見てしまったからには、諦めきれませんでした。
年に一度のことだから。
キャンディーを欲しがるよりは、からだにいいものだから。
台所のカウンターに置いたざくろの箱を見て、案の定みあは大喜び。
みあの成績表が渡されたのは、それから数日後のこと。
成績表が渡されてから、ざくろを買ってやるのだったと、後悔しました。
みあにはじめて鬼子母神の話をしました。
こどもをさらっては食べていたという鬼子母神。
ひとの味がするというざくろ。
案外気味悪く思わないで、おもしろがって聞いていました。
ハロウインがあと数日というときの、ちょっと不気味な話を歓迎する季節にうってつけの果物の話ではありませんか。
ざくろの実をかき出しながら無心にざくろを食べるみあ。
その果汁はときどき実がはじけて飛んで、みあの顔についている。
拭いそこなったその果汁は乾いて、まるで返り血が乾いたみたいだと思うわたし。
ざくろは、実をほぐしてこのまま食べたり、フルーツサラダに散らしたりします。
義母方に受け継がれる中東のレシピでは、肉料理の飾りのガニッシュに使われたり、果汁を煮詰めたシロップも頻繁に使われます。
ポマグラネト。
ざくろ。
石榴。
こどものころは、ざくろというと、近所の誰かの庭に木があって、秋になればどなたかからいただいたものでした。
ぱっくり裂けている朱色の皮の間からのぞく、ルビー色の粒々。
そうおいしいものとは思わなかったけれど、その姿に魅了されたものです。
庭に生えているざくろの木ですから、実も小さかったでしょう。
こちらでもいまの季節、ざくろが出回ります。
アメリカの一般家庭でふだんにいただく果物は、バナナ、りんご、オレンジ、ぶどうが主流で、ざくろは贅沢でエキゾチックなものという位置にあるようです。
ざくろを食べたことがないというアメリカ人もいるほどです。
みあが産まれてすぐに、ニューヨーク州に住む叔母一家を訪ねました。
みあはまだ生後3ヶ月。
次女のイロナは当時まだ中学生。
同居していて寝たきりだった祖母の世話もしていて、感心したものでした。
わたしたちにとって、この旅いちばんの目的は、余生少ないというこの祖母に会うこと。
それから間もなく昇天しました。
さて、
滞在中にイロナが成績表をもらって帰ってきて、叔母が用意していた褒美は、ひとつのざくろ。
感謝祭のころでした。
ざくろを手にして、大喜びしていたイロナがなんと純粋で美しい少女に思えたことか。
こんな価値観を、みあにも持ってほしいと思ったできごとでした。
輝石の好きなみあらしく、ざくろはみあの気に入りの果物で、この季節になると、もうざくろがお店にでているのではないかとわたしに聞きます。
ざくろは高いから、今年は買わないかもしれない、と言ったものの、出先で大きな輝くばかりの実の箱詰めを見てしまったからには、諦めきれませんでした。
年に一度のことだから。
キャンディーを欲しがるよりは、からだにいいものだから。
台所のカウンターに置いたざくろの箱を見て、案の定みあは大喜び。
みあの成績表が渡されたのは、それから数日後のこと。
成績表が渡されてから、ざくろを買ってやるのだったと、後悔しました。
みあにはじめて鬼子母神の話をしました。
こどもをさらっては食べていたという鬼子母神。
ひとの味がするというざくろ。
案外気味悪く思わないで、おもしろがって聞いていました。
ハロウインがあと数日というときの、ちょっと不気味な話を歓迎する季節にうってつけの果物の話ではありませんか。
ざくろの実をかき出しながら無心にざくろを食べるみあ。
その果汁はときどき実がはじけて飛んで、みあの顔についている。
拭いそこなったその果汁は乾いて、まるで返り血が乾いたみたいだと思うわたし。
ざくろは、実をほぐしてこのまま食べたり、フルーツサラダに散らしたりします。
義母方に受け継がれる中東のレシピでは、肉料理の飾りのガニッシュに使われたり、果汁を煮詰めたシロップも頻繁に使われます。
by ymomen
| 2008-11-03 08:27
| 食
|
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Comments(14)
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mi-mian at 2008-11-03 10:44
柘榴、美味しいですよね^^
でも、たべてもたべても食べ足りない小さな実。殆どが種の実。
其処がまた、いいのかもしれません(笑)
そういえば、最近柘榴、食べていません。
みあちゃんは、柘榴が好きなんですね〜^^
真剣に食べている様子がかわいいです。
わたしも食べたくなってきました〜
でも、たべてもたべても食べ足りない小さな実。殆どが種の実。
其処がまた、いいのかもしれません(笑)
そういえば、最近柘榴、食べていません。
みあちゃんは、柘榴が好きなんですね〜^^
真剣に食べている様子がかわいいです。
わたしも食べたくなってきました〜
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melocoton1 at 2008-11-03 19:08
>鬼子母神
あー、思い出しました!
私もなんか目を輝かして(汗)その話を聴いた覚えがあります^^;。
ザクロおいしいですよね!
バラバラにするのが、面倒でもっぱらシロップ使用ですが、久しぶりに買ってみようかしら。
こちらだと甘いのとすっぱいの、両方売ってますが、アメリカだと甘いのだけなのでしょうか?
お肉料理にザクロの粒粒かかったのや、ピラフにザクロをのせたもの、だいすきですよ~^^。
あー、思い出しました!
私もなんか目を輝かして(汗)その話を聴いた覚えがあります^^;。
ザクロおいしいですよね!
バラバラにするのが、面倒でもっぱらシロップ使用ですが、久しぶりに買ってみようかしら。
こちらだと甘いのとすっぱいの、両方売ってますが、アメリカだと甘いのだけなのでしょうか?
お肉料理にザクロの粒粒かかったのや、ピラフにザクロをのせたもの、だいすきですよ~^^。
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may
at 2008-11-03 22:25
x
私も先日、ザクロ買いましたよ。好きとかではなくダイエットに良いと聞いたので(笑)。でも1個でたくさんでした。なんたって高いし実を取るのが面倒〜。みあちゃんは辛抱強いわ〜。
こんにちは。norikoです。
ザクロ、子供の頃に近所の木になっていた記憶があります。道ばたで割れて、道が真っ赤。ちょっとグロテスクで恐かったことを思い出しました。
この赤とかザクロの形状とかって、記憶に焼き付いちゃう程、強烈ですよね。つくづく不思議な色、形をしていると思います。
私もお肉料理のザクロソースが好きです。久々に買ってみたくなりました。
ザクロ、子供の頃に近所の木になっていた記憶があります。道ばたで割れて、道が真っ赤。ちょっとグロテスクで恐かったことを思い出しました。
この赤とかザクロの形状とかって、記憶に焼き付いちゃう程、強烈ですよね。つくづく不思議な色、形をしていると思います。
私もお肉料理のザクロソースが好きです。久々に買ってみたくなりました。
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ymomen at 2008-11-04 01:12
Mi-mianさん、
みあは種を出さないでそのまま食べてしまうんですよ!
こっちのひとはみなそうみたいです、ざくろを食べるときは。
もしかしてMi-mianさんもそうでしょうか。
ざくろを食べるには真剣にならざるをえないですね 笑。
この作業も楽しみのうちなんでしょう。
みあは種を出さないでそのまま食べてしまうんですよ!
こっちのひとはみなそうみたいです、ざくろを食べるときは。
もしかしてMi-mianさんもそうでしょうか。
ざくろを食べるには真剣にならざるをえないですね 笑。
この作業も楽しみのうちなんでしょう。
ざくろ、なんだかとても懐かしく思いました。
そんなに小さい頃しょちゅう食べた、というわけではないんですが、どこか幼少の頃の思い出と繋がる部分があるようです。
こちらでは最近ざくろのジュースが出回っています。
女性の健康にはいい、というのがうたい文句。
私もたまに買って飲みます。
久しぶりに生のざくろ、食べてみたくなりました・・・。
そんなに小さい頃しょちゅう食べた、というわけではないんですが、どこか幼少の頃の思い出と繋がる部分があるようです。
こちらでは最近ざくろのジュースが出回っています。
女性の健康にはいい、というのがうたい文句。
私もたまに買って飲みます。
久しぶりに生のざくろ、食べてみたくなりました・・・。
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ymomen at 2008-11-04 01:17
Meloさん、
甘いのと酸っぱいのってあります?
甘いのしか知りません。
姿や色は同じです?
おもしろいですねえ。
ばらばらにするの、おもしろいじゃありませんか。
指先に力が入りすぎると、実が破れてしまうすれすれのところがおもしろい。
いま、栗、ひよこ豆、ほうれん草、玉葱、トマト入りのバスマティライスを火にかけています。
スパイスはスマックと、クミンなどが入ったサウジ・アラビア・ブレンド。
これにざくろの実を散らしてみよう・・・。
お近くだったらおすそ分けしたいですが。
甘いのと酸っぱいのってあります?
甘いのしか知りません。
姿や色は同じです?
おもしろいですねえ。
ばらばらにするの、おもしろいじゃありませんか。
指先に力が入りすぎると、実が破れてしまうすれすれのところがおもしろい。
いま、栗、ひよこ豆、ほうれん草、玉葱、トマト入りのバスマティライスを火にかけています。
スパイスはスマックと、クミンなどが入ったサウジ・アラビア・ブレンド。
これにざくろの実を散らしてみよう・・・。
お近くだったらおすそ分けしたいですが。
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ymomen at 2008-11-04 01:20
Mayさん、
ダイエットにいいのですか!
こつがわかれば、実をはずすのもあっという間ですよ。
わたしはこういう作業、好きなんです。
確かにお高い。
でも、上等のケーキひと切れ買う(ここにはそんなお店はないけれど)お値段よりも、ざくろひとつは安いから、カロリーはケーキより低く栄養価は優れていると思って、買うのです 笑。
ダイエットにいいのですか!
こつがわかれば、実をはずすのもあっという間ですよ。
わたしはこういう作業、好きなんです。
確かにお高い。
でも、上等のケーキひと切れ買う(ここにはそんなお店はないけれど)お値段よりも、ざくろひとつは安いから、カロリーはケーキより低く栄養価は優れていると思って、買うのです 笑。
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ymomen at 2008-11-04 01:27
Norikoさん!
ざくろは、こうしてみればルビーのようだから西洋のもののようでも、仏教に近い果物なんです、わたしのなかでは。
こどものころに、おつきあいのあったお寺の庭にざくろの木があって、そこから秋になると紙袋に入ったざくろをいただいていたせいかな?
そちらのブログではコメント欄が閉じられているので、ここにお話させてください。
こどものころ、”赤毛のアンのお料理ノート”も持っていました。
今朝そちらを拝読して、リンクなさっているティー・ルームのレシピまでじっくりのぞきましたよ。
再版なさったというレシピ本、ほしくなりました。
数年前、いまは帰国してしまった友人が”赤毛のアン”の大ファンで、帰国前に一緒にエドワード島に行きましょうという話で盛り上がったのですが、実現しませんでした。
ざくろは、こうしてみればルビーのようだから西洋のもののようでも、仏教に近い果物なんです、わたしのなかでは。
こどものころに、おつきあいのあったお寺の庭にざくろの木があって、そこから秋になると紙袋に入ったざくろをいただいていたせいかな?
そちらのブログではコメント欄が閉じられているので、ここにお話させてください。
こどものころ、”赤毛のアンのお料理ノート”も持っていました。
今朝そちらを拝読して、リンクなさっているティー・ルームのレシピまでじっくりのぞきましたよ。
再版なさったというレシピ本、ほしくなりました。
数年前、いまは帰国してしまった友人が”赤毛のアン”の大ファンで、帰国前に一緒にエドワード島に行きましょうという話で盛り上がったのですが、実現しませんでした。
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ymomen at 2008-11-04 01:31
Saoriさん、
こちらでも、ざくろのジュース、サプリメントとして人気を集めているようです。
詳しくはどういいのかまでは追求していませんが 笑。
知りたがりのこどもにとって、ざくろという果物は、インパクトの大きい存在だったのでしょうか。
特にきらきらしたものの好きな女の子にとって。
聖書では禁断の果物は林檎ですが、ざくろこそ、そんな形容詞が似合うように思います。
たくさんの身が入っている果物だから、子孫繁栄に通じるおめでたい果物、という解釈もあるそうです。
ざくろも、出回る季節がごく短いですね。
こちらでも、ざくろのジュース、サプリメントとして人気を集めているようです。
詳しくはどういいのかまでは追求していませんが 笑。
知りたがりのこどもにとって、ざくろという果物は、インパクトの大きい存在だったのでしょうか。
特にきらきらしたものの好きな女の子にとって。
聖書では禁断の果物は林檎ですが、ざくろこそ、そんな形容詞が似合うように思います。
たくさんの身が入っている果物だから、子孫繁栄に通じるおめでたい果物、という解釈もあるそうです。
ざくろも、出回る季節がごく短いですね。
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nobukoueda at 2008-11-04 06:53
ざくろ・・・その形と色ととってもすきです。
でもなんだかこれは庭の木になっているものという感じで~
いただくもの・・・みたいな気がして
なかなかかえません。^^;でもそういえば、近頃こちらもうってますねえ~
出回る短い季節にこそ・・たべてみたいですね。こどものころはそのすっぱさがちょっと苦手でしたが・・今はたべた~いです。
ハロウィーンでまた銃の事件がありびっくりです。こどもにとって楽しみな行事なだけに残念というか、かなしいですが。
でもなんだかこれは庭の木になっているものという感じで~
いただくもの・・・みたいな気がして
なかなかかえません。^^;でもそういえば、近頃こちらもうってますねえ~
出回る短い季節にこそ・・たべてみたいですね。こどものころはそのすっぱさがちょっと苦手でしたが・・今はたべた~いです。
ハロウィーンでまた銃の事件がありびっくりです。こどもにとって楽しみな行事なだけに残念というか、かなしいですが。
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ymomen at 2008-11-04 12:03
Nobukoさん、
その感覚わかります。
日本ではそうでしょうね。
こちらで買うざくろは立派な大きさと色艶です。
ざくろも大人になって改めてありがたい存在だと思える果実のひとつかもしれません。
イチジクや柿のように。
事件、そうなんですよね。
かなしいことです。
こういうイヴェントに災いがつきまといやすいというのもわかります。
だからこそ、まわりのおとなが気をつけてやらないと、と気をもみます。
その感覚わかります。
日本ではそうでしょうね。
こちらで買うざくろは立派な大きさと色艶です。
ざくろも大人になって改めてありがたい存在だと思える果実のひとつかもしれません。
イチジクや柿のように。
事件、そうなんですよね。
かなしいことです。
こういうイヴェントに災いがつきまといやすいというのもわかります。
だからこそ、まわりのおとなが気をつけてやらないと、と気をもみます。
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Mira
at 2008-11-05 03:00
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ymomen at 2008-11-06 05:11