2006年 10月 27日
DNAの内訳は? |
夫が子供を連れて外出していると、”わたしの兄夫婦も養女もらったんですよ”とか、”男の子も、あちらでは手放すようになったんですか?”という類いのことを、知らない人から言われます。悪意があって、の発言じゃないのです。
アメリカでは、中国から養子縁組をするという人がたくさんいます。たくさん、というと無責任な言い方ですが、まわりを見ても何人か知っている程度にいる、というくらい、います。わたしたち家族を長年診てくださった先生ご夫婦は、上の三人のお子さんの手がかからなくなったからと言って、中国からの養女を育てていらっしゃいます。
アメリカ人にとって、うちの子供は全くまじりっけなしの日本人(アジア人)に見えるようです。夫が外で、知らない人から、冒頭のような声をかけられるのは、そういうことです。
夫の父方の先祖はノルウエイ人。母方の先祖はシリア人。義祖父母までの世代は、すでにアメリカの地に生まれていても、同郷の国同士の婚姻に限っていました。ですから、夫は血でいうと、ノルウエイとシリアのハーフ。うちのこどもは、ノルウエイとシリアの地が四分の一づつに、日本人の血が半分。白人とアジアの血が混じった子供(に限りませんね)をユーレイジアン(Euro-aisian)と呼ぶ言葉があるけど、うちの場合は、中近東の血も入っているから、該当しない言葉かしら?中近東をアジアの一部だという人がいますが、それが正しければ当てはまりますね。夫の家に伝わる古い古い写真の会ったこともない人たちをみつめながら、わたしには血のつながりはないけれど、うちの子供には繋がっている、ということが不思議です。
これは、義母が結婚する以前に撮ったという、そのきょうだいと両親(中央)の写真です。この方々は、知ってます(笑)。会ったこともないなんて書いたら、叱られます。マフィア一族、という感じでしょう?夫には祖母にあたるひとは、その両親がシリアからニューヨークにやってくる船のなかにいたときは胎児だったのだそうです。シリアは中近東の国。数年前のテロ事件以来、中近東由来の濃いプロファイルの人や、その名前の人への、飛行場などでの警備は、当然厳しくなっています。夫を含めたわたしたち家族、は義父の北欧由来の姓名を名乗っていますから、そう風当たりはきついと思ったことはありません。でも母方のシリア由来の姓名を名乗る伯父、叔父の多くは、いくらかその影響を経験したそうです。。義母のきょうだいは十人。それぞれに平均四、五人の子供がいるので、親族は大勢、ぞろぞろいます。みんな人懐っこい、暖かい人柄です。初めて総勢に対面したときは、次々にわたしを抱きしめて、両頬にかわるがわるキスをしては、”Welcome to our family!"と挨拶され、”わー、ゴッドファザーみたーい!’と思ったものです。シリアを偲ぶ文化(絨毯のコレクションや、料理)を大切にしている一方、今のシリアが世界に政治的に位置する情勢には冷淡で、郷愁のようなものはないようです。
冒頭の一葉は、夫の義父方の、はるか昔の親族の結婚式。左の少女が夫の祖母。ノルウエイがた。こちらは、アメリカに根を下ろしてからは、代々農業に携わってきたそうです。みな、ブロンド、青い目の風貌です。こっちの親族のほうが、義母方に比べて、ずっともの静かです。その数もシリア側に比べたら、こじんまりしています。あからさまな愛情表現はしないけど、実直にひそかに親愛の情を育てる、というタイプのひとたちに思えます。ところで、このウエディング・ドレス、うちにあるのです。派手なものではありません。銀の刺繍は酸化して黒ずんでいます。木綿の生地は黄ばみ、綻びがあり、手縫いでつくろってあったり、あて布もあります。それでも農業が生業の生活で、これだけの凝ったドレスをあつらえたのは、当時よっぽどの散財だったと思います。これを装った花嫁はひとりではなさそうです。百年の歳月を経てこのドレスが、その末裔の配偶者の日本人の手にあるということ、この写真の誰が想像できたでしょう。
恥ずかしいことに、今のところ、子供はふたりとも日本語がわかりません。わたしの怠慢のせい。日常会話ができるところまで特訓したら、デンバーの日本語補修校に入れていただこうかと・・・。遠いけど・・・。
by ymomen
| 2006-10-27 06:18
| 家族
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Comments(2)
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morimaman at 2006-10-28 07:40
当たり前と言ったら、当たり前ですが、私たちには数え切れないくらい多くの遺伝子を受け継いでいるのですよね。この子誰に似たのだろうって思っていたら、じぶんの従姉と似ていたりとか、、、
自分に関わる家族の証みたいなものは、遺伝子だけではなく、写真っだたり、素敵なドレスだったり、、、ちなみに私は母達代々が結婚式のときに使った簪を使って、高島田をのせました、、、昔々。
自分に関わる家族の証みたいなものは、遺伝子だけではなく、写真っだたり、素敵なドレスだったり、、、ちなみに私は母達代々が結婚式のときに使った簪を使って、高島田をのせました、、、昔々。
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ymomen at 2006-10-29 01:44
morimamanさん,
日本での式は挙げてないので、白無垢に高島田っていうの、経験ないです。今思えば、ちょっと後悔。すでに遅し、です。
日本での式は挙げてないので、白無垢に高島田っていうの、経験ないです。今思えば、ちょっと後悔。すでに遅し、です。